第41章 じいちゃん
「ご無沙汰しております、慈悟郎様」
「光希……息災だったか。良かった。善逸が世話になってるな」
「違うよ、じいちゃん!俺が、こいつの世話してんの!」
「黙れ!そんな訳ないだろう。相も変わらずすぐに泣きよって……」
「あはは、慈悟郎様、本当ですよ。最近の善逸の成長はめざましくて、いつも俺は助けられています」
光希は慈悟郎にそう言って笑いかける。
「ね?ね?じいちゃん、聞いただろ?」
「全ては慈悟郎様のご教授の賜物です」
「違うよ、光希。俺が凄いの。俺が頑張ったからだよ」
「調子に乗るな馬鹿者!光希は儂に気を遣っとるだけじゃ!」
慈悟郎は善逸の頭をべしっと叩く。
「いったぁ!」と涙目になる善逸。
そんな二人を、光希は笑いながら見ている。
「いえいえ。本当ですよ。善逸が居なかったら、俺も仲間も生きてません。感謝してます」
「ほう……」
「へへへっ」
善逸は照れくさそうに笑う。
「まあ、とりあえず二人とも家に上がれ」
「うん。ありがとう、じいちゃん!」
「ありがとうございます」
善逸は嬉しそうに、光希の手から米を持つ。
慈悟郎の後に付いて玄関へ行く。
「只今帰りました」
「お邪魔いたします」
声をかけて家にあがる。
「久し振りだなぁ」
「善逸、嬉しそう」
「へへ。じいちゃん元気そうでよかった」
「だね」
客間に通される二人。
下座に座り、頭を下げる。
「ご無沙汰しております。桑島慈悟郎様におかれましては、ご壮健で何よりでございます」
善逸が丁寧に挨拶を述べ、慈悟郎が驚いている。
「お前、本当に善逸か?」
「えへへ!立派になったでしょ、俺。あ、これお土産。米とお煎餅ね」
「お、おお。かたじけない」
「慈悟郎様、お元気そうで何よりです。突然の訪問失礼いたしました」
今度は光希が頭を下げる。
「うむ。儂は構わんが、どうかしたのか」
「……決戦が近いことはご存知のことと思います」
「うむ」
「それに向けて、今、準備を進めております。善逸は、そんな俺を手伝ってくれています」