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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第40章 師範


翌朝、いつもの様に早くに目覚める光希。

井戸で水を汲み、顔を洗う。
昨日は風呂に入れなかったので、布を濡らして軽く身体を拭いて綺麗にする。


書庫に戻り、本棚から本を取り出して読み始める。

光希は本当は兵法書より物語の方が好きで、『義経記』『宇治拾遺物語』などがお気に入りである。
持っていきたいけど持っていけないお気に入りの本たちを、懐かしそうに読む。



隣で眠る善逸が、身じろぎをした。起きそうである。光希は、ここまでかな、と本を閉じる。


「……おはよ、光希」
「おはよう、善逸。よく寝られた?」
「うん。深く寝た、気がする」

善逸は身体を起こして、ぐーっと身体を伸ばす。


「顔洗ってくる。井戸かりるね」
「どうぞ」

善逸は部屋を出ていった。
光希は本を棚に戻す。


―――また、読みに来るからね。俺を支えてくれてありがとう


心の中で本たちに、そう伝える。

上着と羽織りを着て、善逸の準備を待つ。




善逸の準備が整うと、二人で桑島の部屋に行く。


部屋の奥に光希の羽織と同じ、薄紫色の布が被せられた刀置きがある。

「これか」
「うん」

光希は少しためらったが、手を伸ばして布をしゅる……と取る。



二本の刀。

紫紺の拵(こしらえ)の刀と、水色の拵の刀があった。


上の紫紺の刀は、鍔元と鞘が白い紙縒(こより)で縛られており、抜刀出来ないようになっている。


「綺麗な刀装だな」
「久し振りに見たけど、本当だね」

光希は二本の刀をじっと見る。
下の水色の刀に手を伸ばす。


「これは、選別の時に使った師範の刀」


スラッと抜いて、刀身を見る。
水の剣士らしい、鮮やかに透き通る水色の刀身だ。

光希はじっと刀を見た後、鞘にしまう。


「ありがとうございました」

お礼を口にして、刀置きに戻す。

 

そして、目線は上の刀へ向く。


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