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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第5章 蝶屋敷 1


「へへへっ」と頬を赤潮させて笑う光希。
楽しくてたまらない、といった感じだ。

そんな光希を見て笑みが溢れる炭治郎。

……まぁ、怒られたら、俺も一緒に怒られよう


「いくぜ!用意、開始!」

ばばばばばと湯呑の攻防が始まる。
すると十秒くらいで炭治郎の目の前に湯呑が現れた。

「ばしゃーん」
光希がにやりとする。

「……え?」
「もう一度だ。今度は炭治郎が号令出していいよ」

炭治郎の掛け声でまた素早い攻防が始まる。だが、やはり炭治郎の手を湯呑がすり抜ける。

「嘘だろ……」
「へへへっ」
「も、もう一回!」
「よし来た!」


二人は何度も繰り返した。
なかなか勝てない炭治郎もどんどんむきになる。もう一回、もう一回と回を重ねる毎に熱量も上がっていく。

二人が夢中になって鍛練をしていると、稽古場の扉がガラッと開く。
そこには笑顔のしのぶが居た。

「何をなさっているのですか?お二人で」


その瞬間、二人を取り巻いていた熱は一気に氷点下まで下がり、あ、死んだ、と思った。



「お前ら本当に馬鹿だよなぁ」善逸が呆れたように言った。

「炭治郎、俺のせいでお前まで。ごめんな」
「いや、俺も夢中になってたから……」

「俺が誘ったから。炭治郎は悪くない」と主張したが聞き入れてもらえず、しのぶから長い説教を食らった二人は衰弱していた。
そして光希は、鍛練開始まで稽古場に入ることを禁止された。


「にしても、光希。反射訓練凄かったな。一回も勝てなかった」
「炭治郎は素直だから、目で全部説明してんだ。相手に読まれてんだよ」
「なるほど」
「湯呑を見るんじゃなくて、予測しながら机全体を見るんだよ」
「わかった。明日やってみる」
「頑張れ」


「あ、湯呑いっぱい持ってきてここでやるか?」と目をキラキラさせる光希に、こいつ全く懲りてねぇ…と善逸は溜息をついた。


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