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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第5章 蝶屋敷 1


「光希、辛そうだったな……」
「ああ。珍しいくらいに弱ってたな」
「俺たちにはわからない辛さだな」
「うん」
「女性は労ってあげないとな」
「そうだな。ツキイチだけな」

廊下を歩きながら、二人で話す。


……あーもう、今後、男か女かわかんねぇ奴とか言えねぇじゃん。あんな姿見せられたら、もうまるっきり女一択だろうが。調子狂うぜ。

善逸は髪の毛をガシガシと掻いた。


三日後、光希は稽古場に付いてきた。

「お前、大丈夫なのかよ」
伊之助も心配するが、「大丈夫だよ、ありがとな」と笑顔を返す。顔色もだいぶ良くなり、炭治郎も安心した。

明後日から光希も参加予定だ。うずうずしているのがわかりやすいくらい表情に出ていて、炭治郎は苦笑いする。


そして今日も勝てない炭治郎たち。
ぐはー…と床に転がる炭治郎。伊之助は悔しさで外へ走り出ていった。

「では、今日の訓練は終わりです」とアオイは声をかけて去る。

転がる炭治郎に近付く光希。

「走り込み」
「はぁはぁはぁ、……え?」
「走り込み、したほうがいい。二人とも。呼吸が続いてない。だからアオイさんに逃げられてる」
「そうか……。他は?何か見てて気付いたこと教えてくれ」
「目に頼りすぎな気がする。もっと予測が必要だと思う。特に薬湯の方な。目では追えてんだよ。だから、その先だよな。伊之助は目が見えないからわかんないけど」
「なるほど。ありがとう」

炭治郎がお礼を言うと、光希が悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「なあ、炭治郎」

この笑みを浮かべる光希はやばいことを考えてる。炭治郎は嫌な予感がした。

「あれ、やろうぜ。俺と」

光希が指差したのは部屋の隅に片付けられた反射訓練、通称・薬湯ぶっかけ一式。

「だだだ駄目だって!光希まだ訓練開始の許可出てないだろ!怒られるぞ!」
「へへへ、大丈夫大丈夫」

そういってガタガタと机を出してくる。

「鬼ごっこは無理だけど、これなら大丈夫だ!」

そう言って、机の前に座る。

「水入れるとバレるから無しでいこう」
「どうなっても知らないぞ」
「怒られるのは俺だから」


炭治郎も、数分前に薬湯をかけられまくった机に、しぶしぶ座る。

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