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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第38章 我慢大会


「俺は、剣士だ!約束は守るっ!」


地面に両手をつき、息は荒く、四つん這いの状態でそう叫ぶ善逸。

手足が震えている。
盛大に我慢しているのがよくわかる。



「……早く部屋に戻れ。襲われたいのか」

光希に背を向けたまま、低い声で善逸が言った。



「……戻るよ。庇ってくれてありがと、善逸」
「怪我、ないか」
「大丈夫」

「よかった。おやすみ」
「おやすみ」


光希は部屋に戻る。




一瞬見えた、善逸の男の顔。

今まで見たことのないものだった。



彼が今まで怖がらせないようにしてくれているのはわかっていた。

ギラついた欲望的なものを見せないように頑張って抑えてきたのだろうが、今回はその余裕がなかったようだ。




本来なら、恐怖で固まったであろう光希。

でも、怖くなかったな、と思った。
逆に格好いいと思うくらいだった。



布団を敷きながら光希の胸が高鳴る。


善逸に聞かれないように、それを鎮めていった。



「我慢大会、優勝おめでとう」



布団の中で、光希はそう呟いた。


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