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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第38章 我慢大会


しばらくお互いの手を堪能していると、善逸が口を開く。

「昔だったらこのまま腕相撲だな」
「ふふ、下が布団じゃ安定悪いよ」
「机に移動して、やるか?」
「いいよ?でも、まともにやったら勝てないなあ。昔は五分五分だったけど」
「いや、俺の方が勝ってた!」
「そ、そんなことないっ!左は私の方が強かったから五分だよっ!」


二人は文机に移動して腕相撲をすることにした。


「私、両手でいい?」
「いいよ」

お互いの右手を組ませて、光希はその上に左手を乗せる。


「いい?」
「いつでも!負けねえぞっ!」


「始めっ!」


ぐっと、力を込める二人。


「くっ……両手なの、にっ……」
「へ、へへ……どうしたよ、頑張れよっ……」


両手でも、善逸の方が優勢である。

光希は左手に力を込めて、倒されそうな右手を起こして五分に持ち込む。


「はぁ、はぁ……、ぎ、ぎぎっ……」
「頑張るじゃん。持久戦にいくか?」

持久戦になったら勝ち目はない。


「はぁ、はぁ、ここまで差が、開いてるとは、ね。驚きだよ」
「さて、そろそろ倒すか?」

善逸は、まだまだ力半分の様だ。
ぐっと力を込めてくる。


「くそっ……この……、負けるかぁ!」

頑張る光希。
その姿に、可愛いなぁ……と見惚れる。



「はぁ、はぁ、はぁっ…、……え?」

突然光希が目線を横にずらし、何かに気付く。
腕の力も少し弱まる。


「え?どした?……何か、」

「せいっ!!」
「うわっ!!」


光希は、善逸が光希の目線に気を取られて集中が切れた瞬間に、両手に渾身の力を込めて腕を倒した。



「よっしゃ!」

手を離して喜ぶ光希。


「ずるい!ずるいぞ光希!」
「はぁ、はぁ、あはは、ごめんね。まさかこんな単純な策にひっかかるとは」

「昔はずるしなかったのに!」
「それは五分の戦いが出来たから」
「両手使わせてあげたのに!」
「それでも勝てないって、開始二秒でわかったよ」

ぷんぷんと怒る善逸。
くすくす笑う光希。


「強くなったね、善逸」

手を伸ばして、黄色い頭を撫でる。

「善逸の勝ち、だよ」

そういって微笑むから、善逸はまた顔を赤くする。

「お前には、勝てねぇよ……」

悔しそうに、そう呟いた。

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