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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第38章 我慢大会


「待って!」


光希に呼び止められて、善逸はビクッとして止まる。


「……私、蝶屋敷に戻るよ」
「今から?夜だぞ」
「何言ってんの。鬼殺隊士だもん平気だよ」
「でも……」
「義勇さん家でもいいし」


そう言うと、光希はテキパキと準備を始める。
善逸の方を全く見ない。



「ちょっと待ってよ……」
「なんで?私と居たくないんでしょ?」
「ち、違っ……」
「私がこのままここに居ると喧嘩になる。確実に」
「嫌だ……」

「隊服に着替えるから、部屋に入んないでね」


ピシャリと戸が閉められる。



「ごめん、光希……ねえ、ここ、開けていい?」
「着替えるんだってば」
「着替えないで」


しょんぼりとしたその声に、戸を開ける。
善逸は観念したように、ちょこんと正座している。


「何?」
「俺ね、……我慢してんの」
「ん?」
「今日は、光希を抱いちゃいけないの」
「?」
「危険日なの」
「…………危険日」


なるほどそれでか。

俯いて、至極残念そうにしている善逸。
いじらしさと阿呆らしさが共演している。


「なんでそんなこと、善逸が知ってんの」
「聞いた……から」
「……誰によ。そうだとしても、あんなにひどく避けなくてもいいじゃん!」

「避けるよ!だって、無理だもん!少しでも触れちゃったら最後だよ。一瞬で理性ふっ飛んで押し倒すよ、俺」
「吹っ飛ぶなよ!頑張れよ理性!」
「無理だっ!」

「……じゃあやっぱり義勇さんとこ戻るよ」
「駄目!行かないで!」
「もう、なんなのよ!」
「いて欲しい、けど、近付かないで俺に」


光希は善逸の前にスッと座る。

善逸は後退る。



「……我慢大会になるよ。本当に大丈夫?」
「お、おう」


危険日ねぇ……いや、もう大丈夫だろうな、と光希はこっそり思う。

日にち的に危ない期間は終わっているはずだ。だが、今月は大幅に失血し、体調も崩した。周期が乱れる可能性は確かに大いにある。


「まあ、なら、早くお風呂に入って、とっとと寝ちゃおう」
「風呂沸かしてくる」
「いや、私がやるよ」

立ち上がろうとしたら、またズザザと後退る善逸。



「おおお俺がやる!ゆっくりしてて!」



そのまま廊下を走っていった。


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