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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第38章 我慢大会


隠れ家に着き、どさりと玄関に荷物を下ろす。
本来ならこの程度の荷物など背負ってないも同然なのだが、体力が落ち、しかも沢山泣いた光希はだいぶ疲れていた。


「お疲れさん」

隣で善逸も荷物をおろし、背中から刀を出す。


「善逸こそ。ありがとね」
「おう。いけそうだな。えっと……」
「協同逢瀬作戦」
「そう。それ」
「うん。もう少し詰めるよ」


玄関に置いておいた鍔を、それぞれの日輪刀に付ける。どんなにかさばろうとも、これを置いて出掛けるわけにはいかない。

何かあった時に困るし、やはり剣士の魂だ。


善逸は二つの風呂敷を、ひょいと抱えて部屋に行く。光希は二本の刀を持って、その後を付いていく。


「とりあえずこの辺に置いとくか」
「うん、後で伸ばそ」

部屋の隅に置かれた着物の入った包を見て、嬉しそうに光希が笑う。


「さてと。晩御飯、どうすっかな。食材がないんだよな」
「別に……無くても……」
「米はある。雑炊くらいなら出来る。食えよ」


ちょっと見てくるわ、と台所へ向かう善逸。


……おかしい


光希は首を傾げる。

てっきり、玄関辺りで襲われると思っていた。
全く手を出してこない。


……なんだ?


朝の出発時から、「今日は蝶屋敷で寝ような。隠れ家は……、掃除できてないし」と言っていた善逸。その時から何か引っかかってはいた。


光希は探りにいく。


台所の善逸をそっと覗く。
善逸は彼女の気配に気付いていないようだ。はぁ…と深く溜息をつきながら米をとぐ。


……こりゃ、よっぽどだな


「ちっくしょ……」

「……何が?」
「……!!いつから?」
「少し前」
「…………」
「どしたの」

光希に気付いて驚いたものの、黙ってしまう善逸。


「善逸……?」

善逸に近寄ると、ザザッと距離を取られる。


「え?」
「や、あの……ごめん」

光希も予想外のその行動に、驚いて立ち尽くす。


「あ、のさ、光希。えっと……使ってない部屋、あるじゃん?軽く、掃除しといてくれないか?ご飯は俺、作るからさ」



善逸はそう言って、光希を見ずに調理に戻る。


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