第5章 蝶屋敷 1
彼らは、順調に回復していった。
そして、しのぶの提案で機能回復訓練が始まった。
光希と善逸はまだ駄目と言われて、炭治郎と伊之助だけが連れて行かれた。
憔悴しきって帰ってくる二人に、怯る善逸。
光希は、なんか凄い訓練だとわくわくした。
翌日は光希も見学にいくと言って付いていった。そして、こてんぱんにやられる二人を見る。
……たしかに、……これは、…えぐいわ
冷や汗を垂らした。
しかし、じっと見ているが、アオイには勝てそうな気がした。
カナヲに関しては未知数だが、アオイとの鬼ごっこも薬湯も目で追える。
早くやりたいと、うずうずした。
その時、下腹部にずきっと、痛みが走る。
思わず「ぐっ……」と声がでた。
訓練でへたばっていた炭治郎がその声に気付く。
「……光希?どうかしたか?」
「大丈夫、だ」
腹を押さえて蹲る光希。
「おい、大丈夫じゃねぇだろ。どした?」
伊之助も来る。
「いや、本当大丈夫だから。……ってぇ」
「顔色悪いぞ、しのぶさんに、」
「本当に大丈夫!病気じゃないから!」
そう言ってアオイを見る。助けて、と目線を送る。その目線で何かを察したアオイが素早く駆け寄った。
「光希さんは、大丈夫ですよ。離れて。今日の訓練は終わりです。戻っていいです」
アオイはすっと光希の側に入り「部屋に行きましょう」と肩を貸してくれた。
「ありがとうございます」
真っ青な顔でお礼を言う。歩く度に腹に痛みが走る。
すると炭治郎が光希を抱き上げた。
「アオイさん、部屋まで運べばいいんですよね」
「え、ええ。お願いします」
「炭治郎、俺、歩けるよ」
「駄目だ。運ぶ。じっとしてろ」
薬液で濡れた袖を捲り、がっしりとした手で光希を横抱きに抱く。
「重いだろ、降ろしてくれ」
「軽すぎる。鍛練にもならない」
部屋に着くと、アオイが布団を敷き、炭治郎はその上にそっと降ろしてくれた。
「ごめん、ありがとう……」
炭治郎に運ばれてるときから、痛みと貧血でぼんやりとしてきた光希。眠そうにしている。
「ゆっくり休め」
そう言って炭治郎はアオイと部屋を出た。