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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第5章 蝶屋敷 1


炭治郎はひょいと善逸のベッドに移動すると、「ぼやぼやしてると俺が取るぞ」と囁いた。

「……なっ!」
善逸が驚いて声を上げる。

炭治郎はにやりと笑って自分のベッドに戻る。


「なんだ?」と光希が炭治郎に聞く。今の一連の説明を求めている様だ。

「内緒だ」と、炭治郎は笑ってまた光希の髪を片手でくるくると弄ぶ。挑発するような目で善逸を見る。


光希は何が何だかわからないという顔で眉間にシワを寄せながらも、嫌がる様子もなく髪を触られている。


善逸は身体を起こし「好きにしろよ」と炭治郎に言った。「別に俺には、関係ない」そう言って炭治郎を睨む。

「え、なんだよ。二人、喧嘩してんのか?」
不穏な空気を感じ、光希は炭治郎と善逸を交互に見る。

「なんか変だと思ったよ。原因は何だ?」
と聞く光希に、お前だよ!と二人は同時に心の中でツッコミを入れる。


光希は炭治郎のベッドを降りて、善逸のベッドに登る。

「よくわかんねーけど、喧嘩は駄目だぞ」

光希は胡座をかいて、善逸に注意する。光希が自分の元に来たことで、善逸の中のイラつきやもやもやが消えていく。

「炭治郎も。どうした。珍しいな」
「……ちょっとな。善逸が素直にならないから、意地悪したくなったんだ」
「こいつが素直じゃないのはいつものことだぞ」

「……お前に言われたくねぇよ。この天の邪鬼」
「なんだとこの野郎。やんのか」
「おいおい、二人が喧嘩始めてどうするんだ」

今度は炭治郎が止めに入ると「俺らはいんだよっ!」と見事に二人はハモる。
それを聞いて炭治郎は笑った。

「善逸、ごめんな。さっきのは冗談だよ。でも、誰かに取られるかもしれないのは本当だぞ。素直になれ」
「………わかってるよ、炭治郎。ありがとな」


よくわからないけど、二人は仲直りしたようだ。


呑気な顔で笑う光希に善逸は溜息をつき、炭治郎はそんな彼の心中を想って哀れんだ。


炭治郎の手でいつもより高めに結われた光希の髪が揺れる。白いうなじに善逸の胸が跳ねた。



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