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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第36章 準備


光希が部屋で着物に着替えている間、善逸は別の場所の掃除をしていた。何しろ一週間くらい放置していたわけなので、台所や、玄関を掃除する。


「ふう、こんなもんかな」

善逸が掃除を終えると光希が出てきた。


「おまたせ」

光希は髪をおろして緩く編み込んでおり、うっすら化粧をしている。見慣れた着物ではあるが、それでもいつもと雰囲気は違う。


「か、可愛い……!」
「ありがと」

善逸ががばっと抱きついてくる。


「可愛い可愛い!可愛いよー!光希ー!」
「あ、ありがと。落ち着いて」


思わず口を寄せる善逸を、「駄目!紅がついちゃうよっ!」と慌てて制止する。


そして、光希は何やら考え込んでいる。

「何?」
「頑張って着飾って、それを好きな男が可愛いといってくれる……やっぱりまずはこれだな」

「好きな男って、俺のこと?でへへ」
「そうそう。……これを使って、」
「え、おい、ちょっとちょっと」

光希は紙にメモを取っている。


「おい……」
「へ?」
「もう、お前の頭ん中、戦略ばっかりなんだから、もう!俺との事も、考えてくれよー!」
「あ、ごめん」
「もうっ!」

「ありがと、善逸。好きな男の子に可愛いって言われて、私は天に昇るくらい嬉しいよ」
「嘘だ……計略だ。これも」
「本当だよ。嬉しい。ありがと」
「調子いいなぁ……」

「ね、炭治郎も、今の善逸がやったやつ出来るかなぁ。私が嬉しいってことは、カナヲも嬉しいってことだから」
「知らねえよ!」
「炭治郎に教えといてよ」
「やだ!」


善逸はいきなり拗ねた。


「ごめん、善逸」
「逢瀬だと思って楽しみにしてたのに。計略ばっかりなんだもん」
「ごめんね。でも、今回は下見ということで勘弁して」
「……下見?」

「うん、私、男側の気持ちとか、わからないの。だから、いまいち有効策がわからない」
「男側の気持ち……」
「そう。私、どうしても炭治郎たちにうまく行って欲しいの。だから協力して!お願い!」


親友の為に一生懸命な光希の気持ちが伝わり、善逸の機嫌が少し回復する。

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