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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第36章 準備


翌朝、天気も良く、爽快な目覚だった。

朝の検温も37.3度と微熱ではあるものの、ギリギリセーフとなった。「無理はいけませんよ!」とすみに念をおされる。


身支度をしていると「光希、起きてる?」と声がかかる。

「早っ!どしたの善逸?もしかして指令来た?」

光希が驚いて戸を開ける。

「来てねえわ。俺が早起きするとそんなに驚くのか」
「驚くわ」
「楽しみだったから、早く起きたの!悪い?」

善逸は頬を赤くして、拗ねてみせる。


「……悪くない」
「めっちゃ笑ってんなぁ、お前」
「いやいや、上出来だよ。善逸」


……可愛すぎる、この黄色頭


隊服も羽織も全て準備済みの善逸を見て愛しさがこみ上げる。
光希の用事に付き合わされるだけなのにこの張り切りよう。彼の素直さに心が和む。


「じゃあ、行こっか。隠れ家に寄らなきゃだしね」
「おうっ」

善逸も、にかっと笑う。
アオイに声をかけて、蝶屋敷を出発する。


「隠れ家まで走るか」
「えー……」
「軽めに。俺もだいぶ回復したんだ。お前も足、治ったろ。鈍っちゃう」
「軽く、だぞ」
「うんっ」


二人は街道の林に入り、走っていく。


「おい、速い速い。速度落とせ」
「大丈夫だよ」
「熱上がる!もっと落とせ。バテるぞ。買い物出来なくなってもいいのか?」


仕方なく善逸の隣を走る。
それでも一般人からは考えられない速度で、二人は走り抜けていく。


隠れ家についたときは光希の息は上がっていた。


「はぁ、はぁ……体力落ちすぎ……」
「歩けばいいのに」
「はぁはぁ、もっと、鍛錬しなきゃ」
「はいはい、治ったらね」


ほとんど息が切れてない善逸に、悔しさを覚える。



二人で隠れ家に入る。

「ただいま」
「何気に久しぶりの我が家だ」
「前回の任務に出かけたとき以来だね」
「ちゃんと、二人で帰って来られたな」
「うん。危なかったけどね」

「……おかえり、光希」
「ただいま。おかえり、善逸」
「ただいま」


二人は出かける時と同じく口付けを交わした。


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