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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第36章 準備


善逸が光希の部屋に来る。

「あ、戻ってた」
「うん」

光希は机に向かっていた。
善逸は近付く。


光希は、声だけを返して顔を向けない。サラサラと鉛筆で何かを書いている。

善逸は隣の椅子に座って覗き込む。


「何書いてんの?」

善逸が聞くと、紙から善逸へと視線を動かす。


「善逸、明日街へ買い物に行こう」

にこりと笑う光希。


「いいよ。あ、羽織か?」
「うん。羽織も欲しいけど、準備したいものがあるの」
「準備?」
「いろいろあるの。まず、俺……じゃなくて私の作戦を聞いて!カナヲには了承をとった!」

光希は書いていた紙を善逸に見せながら説明をしていく。


「名付けて、協同逢瀬作戦。善逸と私、炭治郎とカナヲの四人で出かけるってこと」

「おせっかいじゃね?」
「これくらいしないと駄目」
「堅物デコ真面目だからな……」
「そう!」

「でもなあ……、焦るもんでもないだろ。そういうのは」
「のんびりしてられない」
「……光希?」
「死んだら、何も伝えられない」

「そうか……もうそんなに迫ってるのか」
「…………」

光希は黙る。
それは肯定の意味だった。


「私も、街を歩きたいの。善逸と。可愛い格好で。言ったでしょ?」
「うん。俺も歩きたい。刀二本背中に入れて」

善逸は光希の頭を撫でる。


「明日は隊服だなあ。背中の滅が嫌なんだよなあ……カナヲにまた羽織借りていこうかな」
「着物で行けばいいじゃん」
「ここに無いもん」

「隠れ家、寄れば?」
「遠回りになるよ」
「いいよ。急ぐわけじゃないし」
「ありがと。じゃあ、着物で行こうかな」

「熱が下がってなかったら駄目だぞ」
「別に暴れるわけじゃないよ」
「でも、駄目だ」
「明日、下がってるといいなー……」

そう言いながらニヤける光希。


「何、にやにやしてんの」
「だって……楽しみなんだもん。お出かけ、久しぶりだねっ。ふふっ」

笑いを堪えられない光希。
善逸はそんな彼女をぎゅっと抱きしめる。


「……お前、可愛すぎ」
「善逸は楽しみじゃないの?」
「すげー楽しみ。絶対熱下げろよ」
「心得た!」


そう言って、二人で笑い合った。


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