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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第34章 伊之助


「お前、まだ熱あんのかよ」

伊之助がペタリと光希の額に手をあてる。


「ん?よくわからねえ。熱いか?」

自分の額にも当てて首を傾げる。


「伊之助の手もあったかいな」
「俺も熱が高い方だからな」

「冬場にくっついたら暖かそうだなぁ。ゆたんぽ代わりになりそう」
「駄目っ!伊之助ゆたんぽは駄目!俺がゆたんぽになる!」
「善逸、冬場、手ぇ冷たいじゃん……」
「冷え性でごめんなさいねぇ!」

賑やかな部屋。
同期で過ごすのは楽しい。


「炭治郎は?」
「なんか、どっかいった」
「どっかってどこだよ……」
「刀鍛冶だか、なんだか」

「刀鍛冶……もしかして、刀鍛冶の里か?」
「ああ、そんなこと言ってたな」

「へえ……そうか。刀鍛冶の里に……」
「光希……?」

「いいなあ。普通には行けない場所にあるんだ。特別に許可されないとそこには行けないらしい。そうか、炭治郎…、こりゃ何かあるな」
「詳しいな、光希」
「少しね。昔、師範から聞いたことあるんだ」

「何かあるって、なんだ?炭五郎のやつ、やばいのか?」
「いや、それはわかんねえよ。でも、そうだな……、なんか凄い武器とか持って帰ってくるかもな。はは」


光希は何かを考えるようなそぶりをしたが、誤魔化すように笑った。



「さて、俺は胡蝶さんの診察の時間だから行ってくる」
「俺ももっかい鍛錬してくるぜ!」
「伊之助、善逸も連れてってくれ。足、だいぶ治ってっから」
「嫌だ!まだ痛い!」
「行くぞ!紋逸!」

部屋を出ていく男子二人を笑顔で見送って、光希はふぅ、と息を吐く。


「そっか。刀鍛冶の里か……」


そっと呟いて、彼女はベッドに腰掛けた。

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