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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第34章 伊之助


「へぇ……」

善逸が光希の方に目を向ける。


「……善逸。いや…、なんだ。別に…はは」
「伊之助、詳しく聞かせろよ。何があったんだ?」

善逸が珍しく怒りをまといながら睨んできたので、仕方なく光希は口を割る。
ここで炭治郎と伊之助に抱きついて泣いたことを話した。

「何で紋逸は怒ってんだ?」
「別に、……怒ってねえよ」

「ごめんな、善逸」
「何でお前も謝るんだ?」

伊之助は、わからないと首を傾げる。


「お前らが『つがい』だからか?」
「つがいじゃねえよ!恋人!恋人なの!恋人が出来たら、他の特定の男に近付いちゃ駄目なの!」

「別に近付いた訳じゃない。泣いただけだし。なあ?」
「おう。炭五郎も居たぞ」
「そうそう」
「でも!駄目なの!」


「……でもよ、お前も近付いてるよな?この屋敷の奴らに。それはいいのか?」

善逸がピキと音をさせて固まる。
目が右へ左へと泳ぎ始める。


「お、おい。伊之助、何言って、」
「へぇ……伊之助、詳しく聞かせてくれ」

「メシの皿返すとき、皿ごとちびの手ぇ握って殴られてたぞ、こいつ」
「ほう。それから?」
「しのぶの子分の上着が稽古場に落ちてたとき、匂いかいでたな」
「それはキモいな」

「それから、布団を、」
「ねえちょっともうやめてくれるーー?!」

善逸が面白い顔になって叫び始める。


「もうやめてえ!ほんとお願いします!すっげえお願いしますううう!振られちゃうから俺!振られちゃうからああああ!!」


伊之助にすがりついて泣く善逸を、伊之助と光希が冷ややかな目で見る。


「……気持ち悪い奴だな」
「俺も全く同感だよ。伊之助」

その目線に、ひいぃー!と声をあげる善逸。


「お前、相手がこいつでいいのかよ」
「うーん……、どうだろうなぁ」
「お前なら、他にもいんだろが」
「まあな……」
「ちょっとちょっと。やめて。ねえ」


「それでも、こいつなのか」
「こいつの浮ついた行動は想定内だからな」


善逸は光希の音を聞くが、とくに怒りも戸惑いもない。諦められてんだろうな、と切なく思った。

誰が悪いって自分なんですけどね……



「まあ、……いんじゃね?」


光希は頬杖をついて笑う。

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