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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第32章 師弟


「お前は、戦略をどこで学んだ」
「…………」
「大丈夫だ。お前を軍師にするのは諦めている。探りを入れてるわけじゃない」


「ちゃんと学んだ訳じゃありません。師範の家に兵法書があって、勝手に読んでました。『闘戦経』とか『孫子』とか。俺は敵を欺いて戦う戦法が好きで、大陸の兵法をよく読んでいました」
「育手か……」
「師範もそういうのが好きで、俺が寝られないときは二人で戦況を設定して、どうやったら打開できるかとかを一緒に考えました。その程度です」

善逸には、その程度が凄すぎてもはや訳がわからない。

「あとは、心理学の本もあって、読んでいました。どちらかというと、そっちの方が印象強いかもしれません」
「確かに、お前は子どもの頃から心理戦に強いよな」
「読み間違えることもあるけどな」


元々賢い頭をもち、勉強熱心で兵法に興味があり心理学にも長けている。これ程司令官に向いている隊士はなかなかいないだろう。


「義勇さん?」
「……いや、なんでもない」

勿体ない、とやはり思ってしまう。


「勿体ない、とか思いました?軍師になればいいのに……とか」

「思考を読むな」
「どの本にも書いてありましたよ。冷徹になれ、と。俺はそれができないので、軍師から最も遠い位置にいるんですよ」


光希は頑張ってお粥を食べる。
善逸がお椀にだし巻き卵を入れてくる。キッと睨みつつ、頑張ってそれも食べる。

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