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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第32章 師弟


「光希。もし人質に取られたのが炭治郎たちだったら、お前は同じ行動をしたか」
「はい。死にますよ。日輪刀が手元にあれば、すぐに首を掻き切れますね」

「……お前はもっと、自分の命を大事にしろ」
「してますよ?隊が優秀な俺を殺すわけないですもん。俺が自決する前に止めてもらえるって確信しての行動です」

悪戯っぽい笑みを浮かべる。



「人質に取られたのが俺だったらどうする」

「義勇さんだったら、俺は死にません。あなたは自分で敵から抜け出してください。なんで俺が庇わなきゃなんないんだ」
「……なる程な」



「さて、今の流れを経て、どうなったか試してみていいですか?」

光希は右手を上げる。


「ああ」
「階級を示せ!」

浮かび上がった文字は「甲」のまま。


「えっ!なんで……」
「降格は無し、か……」
「嘘だろ…。下がると思ったのにっ……」

「……上層部も今回は引き下がる、とは思う。お前に死なれても困るからな。心労で熱を出して死にかけたことも知っている」
「ううっ…なら何で……」
「ただ、有事の際に、とっておきたいんだろうな。甲として、お前を」


「……わかった。じゃあ、」

そう言うと光希は隣にいる善逸に視線を向ける。

「とっとと、甲に登ってこい、善逸!」
「えっ?」
「炭治郎も、伊之助もだ。おまえらが甲になれば俺ばっかり言われることないんだ。うん。名案だ」

「そんなすぐに出来っかよ」
「いいからやれ。鬼殺してこい。今すぐ行け」
「ひぃぃ!お前が鬼に見えるわ」
「おお、切ってみろや。弱ってっからな。すぐ殺せるぞ」


言い合う二人を見て、義勇が言う。


「……我妻は、お前の弱点ではないな」

「ははは。何を今更。当然でしょう。弱点な訳がない。強み、ですよ」
「光希……」


「善逸がいるから、俺は生きていけるんだよ」


光希は笑いながらそう言って、そのままぱたりと倒れた。

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