第32章 師弟

「任務お疲れ様です」
「ああ」

善逸も頭を下げる。
義勇は座布団に座る。


「柱合会議でお前のことを言った」
「はい」
「………」
「……で？」
「…………」

黙り込む義勇。
光希も不安がよぎる。


「義勇さん？」
「……乱闘に、なった」
「は？」
「俺と不死川と、伊黒で」

「マジですか……。なんで……」
「隊は、やはりお前を上に立たせたいんだ」
「…………ですが、」
「お前の意思を伝えたら、不死川が…騒ぎ出して……」
「実弥さん……」
「伊黒も、認めん！と……」
「伊黒さん……」

柱は時に子どもみたいに喧嘩をする。
個性が強い故か、感情が激しい人が多い。


「……後は、悲鳴嶼さんはやめろと止めに入り、胡蝶さんは呆れ、蜜璃さんはおろおろして、時透さんはぼんやり…ってところでしょうか」
「その通りだ」

光希は溜息をつく。


「義勇さん。俺のせいで皆さんの敵になってしまい、申し訳ありません」
「いや」
「つまり、認められなかった、ということですね」
「…………」

「実弥さんと、伊黒さん。このお二人を説得するなら、俺が自分でやります。これ以上義勇さんを悪者にしたくない」

「いや、その必要はない」


「え？」
「藤花彫り」

義勇に言われて「階級を示せ」と力を込める。
そこには何の字も出ない。


「……！」


これで、自分の置かれた現状を、数パターンの可能性で脳内予測する。