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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第32章 師弟


千代が作った朝食もわりと食べることができた。吐くこともなく、熱も少し下がってきた。
食後の薬を嫌がる光希に、善逸が無理やり飲ませる。


二人で部屋で過ごしていると、光希が突然外へと意識を向ける。


「義勇さんだっ!」

途端に嬉しそうに笑う。


自分の耳よりも速く気付き心底嬉しい音を奏でる光希に、口を尖らせる。


「善逸、肩貸して!出迎えにいきたい!」

自分に向かって手を伸ばす光希。しかたなく、ぐいっと引き上げてやる。

また抱き上げて連れていき、義勇に見せ付けてやろうかとも思ったが、この子がそれを許すはずがないとわかっている。腕から飛び降りて、今度こそ怪我をするかもしれない。


腰を少し屈めて肩を貸してやる。

ちゃっかり腰に手を回したが、光希は気にしていないようだ。


「義勇さん、おかえりなさい。ご無事で何よりです!」

玄関で草履を脱いでいる義勇に声をかける。


「ああ」

「冨岡さん、お邪魔してます」
「ああ」

義勇は立ち上がると光希の額に手を当てる。
眉を寄せて「まだ熱い」と言った。


義勇はそのまま善逸に目を向ける。
無表情でじっと見つめてくる。

……見下ろすんじゃねぇよ


善逸は義勇からの圧に怯みながらも、見つめ返す。


「部屋で待て。我妻も同席しろ」
「はい」
「わかりました」


義勇は自室へと入って行った。


光希は善逸と共に部屋に戻る。

布団をたたみ端によせる。上座に座布団を置き、下座に座って義勇を待つ。


光希から緊張が伝わり、善逸も隣に座って静かに待つ。

詳細はわからないが、おそらく重要な話、上層部しか聞けないものだろう。何故自分が同席するのか、わからない。


光希からは落ち着いた、芯のある音がする。

―――ああ、そうか。これが『覚悟』の音か



光希が目を細めてすっと頭を下げると、戸が開いた。

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