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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第31章 熱


翌朝、目が覚めると、ここ数日とは全く違う身体になっていた。


……おお、いい感じだ


吐き気もなく、手にも力が入る。


いけるかと思って立ち上がってみると、猛烈に目眩がして座り込む。


……ですよね。すみません、調子乗りました


布団の上で、はぁ、はぁ、とうずくまる。



でも、だいぶいい。快方に向かっていることは間違いない。
縁側の方へ這っていき、障子を開けて風を入れる。


「死にぞこなったな」

壁にもたれながら、目をつぶって心地良い風を浴びる。


善逸に関しては、昨日仲直りができたので、もやもやはなくなった。

しかし問題はまだまだあり、また考えだしてしまう自分に気が付く。


「義勇さん…いつ帰ってくるのかなぁ……」



そう呟くと、戸が開く。

「そんなに会いたいの?冨岡さんに」
「ああ。今会いたい人番付の一位だ」
「そうかよ」
「ちなみに二位は伊之助だ」
「え?そうなの?何でさ」
「いろいろあんだよ」

善逸は少し不機嫌になる。


「おはよう、善逸。早いな」
「……おはよう。声が聞こえたから」

「起こしちゃったか。ごめんな。顔洗いたい。連れてってもらえる?」
「ああ」

善逸は光希のそばに来て肩を貸す、と思ったが、ひょいと抱き上げる。


「歩けるよ」
「いいの」

彼女の軽さに、善逸は少し悲しくなる。
おそらく体力も落ちていて、光希も口には出さないが、相当気にしているだろう。


「おっぱいも小さくなっちゃったのかな……。胸も脂肪だろ」
「殺されたいようだな」
「殺される前に、今度確認しよ」
「そう簡単に確認させると思うなよ」

善逸は笑いながら洗面所まで運んでくれた。


下ろすとよろめく光希。「おっと」と善逸がささえる。

少し抱きしめるような形になる。
善逸の心臓がトクンと鳴る。そのまま胸元へ抱き寄せ…ようとしたら光希からの鋭い睨みがきた。

「わ、わかってるよ」
「ならいい」


「はぁ……、本当にお前は頑固だな」

顔を洗う光希に、溜息混じりで善逸が話しかける。

「こうまで拒否されると、さすがに俺、ちょっと不安になるよ…?お前、本当に俺のこと好き?」
「…………」
「はいはい。こういうの駄目なのね。はぁ……」


善逸が、がっくりと肩を落とす。

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