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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第4章 那田蜘蛛山


伊之助が首を捕まれて持ち上げられる。

「やめろーーー!!」
光希は鬼にまだ向かっていく。身体のあちこちが動かないが、それでも刀を振るう。


その時、鬼の手が落ちた。

地面に落ちる伊之助。駆け寄る光希。
二人の新米隊士は、腕をやすやすと切断した剣士、冨岡義勇を見る。
腹が立つほどに涼しい顔をしている。

そして、義勇は自分に向かって突進してきた鬼を一瞬でばらばらにした。


――――あんな打ち潮見たことねぇ

光希は鳥肌が立った。

ぎゃぁぎゃぁ喚く伊之助が吊るされるのを呆然と見ていたが、はっと我に返る。

「仲間が大変失礼しました。
もう一人仲間がまだ戦ってるのです。ご支援願います!」

義勇に走り寄った。その際、足が猛烈に痛んだが、おかまいなしだ。

「どこだ」
「あちらの方角です」

光希は炭治郎が飛ばされた方を指差す。
そちらからも禍々しい気配がしている。

「わかった」
「ありがとうございます。俺も……」

「お前はここにいろ。わかるな」

そう言われて、押し黙る光希。
その様子を見て義勇は走り去る。


「炭治郎をお願いします!どうか!」

去っていく義勇の背に叫ぶ。


……悔しい悔しい悔しい!ちくしょうちくしょう。力が足りない…今、俺が行っても、足手まといになるだけだ


そう思いながらその場に座る光希。体中が痛い。あちこちが悲鳴をあげる。でも、こんな痛みなんて、この悔しさに比べたらなんてことない。

どんなに痛くてもいい、仲間の所へ走って行きたい………

そして光希の身体はゆっくりと倒れ、動かなくなった。


光希は意識を手放していた。

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