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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第29章 風


翌日、光希の部屋に客が来た。
善逸も部屋にいて、席を外そうとしたが、居ろと言われた。


「ご無事で何よりです。さね……シナズガワさん」
「へぇ……髪下ろしてると女に見えるんだなァ」

「光希、お詫びしろよ。ちゃんと」

善逸が横から口を出す。
そうだった、と光希は姿勢を正す。


「大変ご迷惑をおかけしました。倒れているところを見つけて頂いたようで、感謝いたします」
「偶然落っこちてたから拾っただけだァ」

不死川は少し照れくさそうに目を逸らす。

「足くずせェ。痛えんだろ。……お前も座れェ」

光希と善逸に声をかける。
「失礼します」と二人は頭を下げ、光希はベッドで足を伸ばし、善逸は椅子に座る。


「本日はどのようなご用向きで?」
「上弦と戦ったから、調書出さなきゃいけねぇんだよォ、あーめんどくせェ……いろいろ教えろや」
「いろいろ……とは」
「はァ?んなの、テメェが気付いたことやらなんやらだァ」

眉を寄せる光希。
盛大に文句を言いたかったが、助けてもらった借りがあるので仕方なく話し始める。


話し始めるとどんどん夢中になって話す光希。
筆記具を取り出し、不死川と二人、気付いた事を出し合いながら、図や箇条書きにして童磨の情報を紙に書き連ねていく。

童磨に関する既知の情報、及び、考えられる今後の対策や有効な攻撃などをまとめた紙が三枚くらいになった時に、光希は我に帰る。


「はっ!なんか俺、めちゃめちゃ喋ってましたね。つい。ご無礼しました」
「別にいいけどよォ……」

そばでずっと見ていた善逸が、今更?と思うほど、さっきまで光希は普通に不死川と話していた。


「調書が出来たなァ。これ持ってきゃいいや」

紙を見て不死川が笑うと、光希が慌てて声を上げる。

「だ、駄目です!これを使ってもいいけど、ちゃんとあなたの手で書き直したやつを持ってってください!俺が書いたって言わないで!」

「なんでだァ」
「あんたなら、わかるでしょ」
「さあなァ」

「……っ!じゃあ、この紙あげませんっ!」

光希は紙を奪う。

「あ、おいッ!返せェ!テメェ!」
「嫌です!あんたなんかに協力したのが間違いだったんだ!」


途端にまた騒がしくなる部屋。

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