第4章 那田蜘蛛山
炭治郎と伊之助は父蜘蛛と戦っていた。
派手に音を立てているので光希はそれを頼りに走った。息が苦しい。でも必死に足を動かす。
川辺で二人を見つけたとき、炭治郎と伊之助はでかい鬼にぶん投げられていた。取り敢えず生きていたことにほっとしたが、相手の鬼はかなり強そうだった。
鬼が炭治郎に向けて拳を振り上げた時、光希はその間に飛び込み刀で受けた。ガギンッと鈍い音がする。
「光希っ!!」
力に押され跳ね返すことは出来なかったが、なんとか受け流し、鬼の殴打から炭治郎を守ることは出来た。
「はぁ、はぁ、機会を見て、連携するぞ!炭治郎!」
「善逸は?」
「負傷。生きてる。はぁ、はぁ、ゲホッ」
鬼が叫びながら近付いてくる。
水を跳ね上げて殴りにくる。光希と炭治郎はそれを飛んで躱し、後ろから斬りつけにいった伊之助は鬼の肘鉄を食らって吹っ飛んだ。
「伊之助!!」
その時炭治郎が木を切って鬼の上に倒した。
上手い!今だ!
「光希!」
「おお!」
二人で、共闘技を出そうとしたとき、鬼が立ち上がり木をぶん回した。
「えっ?」
「うわっ!」
鬼の予想外の動きに、光希は咄嗟にくぐって躱したが、炭治郎は直接攻撃をくらった。
刀で受けたものの勢いを殺せず、天高く飛ばされた。
「炭治郎ーーー!!」
「健太郎ーーー!!」
「光希、伊之助、死ぬな!!絶対に死ぬな!!」
そう叫びながら飛んでいく炭治郎。
一番連携がしやすい炭治郎と離され、途端に劣勢になった光希と伊之助。
取り敢えず鬼から距離を取る。
「伊之助」
木の影で光希が小声で話しかける。
「お前の切り裂きであいつの右腕を狙うぞ」
「あいつ硬くて切れねぇぞ」
「切れる。俺がお前の技を強化する」
背後の木を鬼が倒して、二人は飛び退く。
「行けるか?」
「俺もそう考えてたところだったからな!」
「そりゃ奇遇だな!」
「獣の呼吸、弐ノ牙、切り裂き!!」
「水の呼吸、弐ノ型、水車!!」
伊之助の技を追うように技を放つ光希。下から回る水車を二連で放ち、伊之助の呼吸に合わせる。
伊之助の切り裂きが水の波紋を帯びて、速さと威力が上がる。
「うおぉぉぉぉ!!」
伊之助の刀が交差し、鬼の腕が飛んだ。