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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第28章 思い出


単独任務から帰ってきた炭治郎は、光希が負傷して屋敷に来ていると聞いて、病室に走った。


「光希っ!入っていいかっ!」

部屋の前で声をかける。
返事が無いので、そっと戸を開ける。


目に飛び込んで来たのは、ベッドで眠る光希と、そこに寄り添うように眠る善逸の姿だった。

光希の右手は善逸の顔の側に置かれている。おそらく彼の頭を撫でていて、そのまま寝たのだろう。


なんだか見てはいけないものを見てしまった気がして、炭治郎は一瞬頬を染める。



でも、光希の頭の包帯が痛々しく、炭治郎は善逸の反対側からそっと彼女に近付く。
とりあえず出血は止まっているようで、ホッとする。


「痛そうだな……」

炭治郎が呟く。

光希の目が赤いことに気が付く。何か辛いことがあったんだろうなと思い、心優しい少年は自分のことのように胸を痛める。


「早く元気になってくれよ」

痛くないように、傷から遠いところの髪を撫でる。



二人の姿を見て、炭治郎は羨ましく感じる。


「羨ましいか……?」

炭治郎が声の方を見ると、善逸が目を開けていた。

「善逸。ごめん、起こしたか」
「大丈夫」

心の音を聞かれたか、と炭治郎は思う。
声を潜めて話す。


「うん。二人が羨ましいよ」
「……でも、大変だぜ。
こいつ、この大怪我で昨日屋敷抜け出したんだ」
「嘘、だろ……、何で?」
「記憶が戻って、錯乱……しちゃって」

光希の記憶がないことは、炭治郎も本人から聞いていて知っていた。


「なかなかきっつい過去でな……」
「そうか…。でもそれは善逸が悪い。ちゃんと見てなきゃ駄目だ」
「……だな。わかってる」

「それにしても、流石だな。お転婆が過ぎるというか…頭いいのに、とんでもないことするな」
「本当だよ。勘弁して欲しいよ」


善逸が困ったように光希を見る。
炭治郎も冷汗を浮かべる。

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