第27章 合同任務 2
光希は隣にいる善逸に顔を向ける。
涙はだいぶ落ち着いたようだ。
「善逸……、そっちの鬼は」
「俺らで倒したよ」
「他の隊士や、村の人は」
「大丈夫だ。誰も死んでない」
「……そうか。……良かった」
「お前の策をみんなでやって、俺が切った……、と思う。あんまり覚えてない」
「そうか……頑張った、な……。凄えじゃん……」
ほっとしたのか、眠気がくる。
血を流し過ぎた。力が抜けていく感覚に、目を閉じる。
「光希?」
「悪い……あとは任せた……眠い…」
「寝てもいいけど、ちゃんと起きてくれよ?」
「ああ、大丈夫……。寝起きは、いいんだ……俺……」
そう言って、またふっと意識を手放した。
隠が来たので、光希をはじめ、負傷した隊士は蝶屋敷へと運ばれていく。
疲労困憊の善逸も、隠に背負われた瞬間に意識を手放した。
不死川は気絶した二人の少年隊士を見送って、後処理に加わる。
……あいつ、この任務で一体いくつの策を隊士に与え、導いたんだ。
切り札も、本当はもっとあったのかもしれねえなァ。毒を確実に使うための芝居も、なかなかの腕前だァ…
人の心配ばかりしやがる、小細工ばっかりの、嫌な奴だぜェ……
かつて初対面で自分につっかかってきて大喧嘩をした少女は、ここ数ヶ月で急成長を見せていた。
今後の成長を楽しみに思っている自分に気付き、不死川は驚く。
「はっ、面白え」
不死川はにやりと笑い、その笑みは周りの隊員を無駄にビビらせた。