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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第27章 合同任務 2


「……おい、……なんの真似だァ」
「手当、俺がやります」
「テメェも怪我人だろが。寝てろォ」
「あなたもでしょう」

善逸は光希の側に身体を寄せ、懐から薬を出す。

「あっち向いててくださいよ」
「何でだよ。俺は報告しなきゃならねえんだよ。こんなガキの身体見たところでなんとも思わねえわっ!」

「こいつ、俺のなんで」

「はぁ?何言ってんだテメェ。テメェも戦闘で頭打ったんじゃねえのかァ」
「いいから!光希の手当は俺がします!あなたは自分の手当をどうぞ!はい、これ薬ね!」


善逸は不死川をどけようとするが、どいてくれない。
仕方なくそっと服を捲る。

腹の傷は、呼吸で止めていたらしく、今は出血はほぼ止まっていた。二人はホッとする。
しかし、じわじわと血が出ているので、薬を付けて布をあて、包帯を巻いていく。


その優しい手付きと彼女を心配する眼差しに、さっきの善逸の発言があながち嘘ではないと不死川は思い至る。

光希の手当を任せ、くるっと反対を向いて自分の治療を始めた。




「う……」

光希が声をあげる。

善逸は捲くっていた服をさっと下げて彼女の腹を隠す。


「光希っ!」

「善、逸……?」
「大丈夫か!良かった……ううっ……、良かったああ…」

善逸は光希と目が合うと泣き始めた。

「お前も無事か、……良かった。おい、泣くなよ。生きてんだから」
「うぇぇん……良かったあ……」


「実弥さん……実弥さんはっ?鬼は?うぎっ、いっ……てえっ……!」
「馬鹿っ!動くな!」



「鬼は逃げたぜぇ」
「実弥さん!……生きてら、はは。あんたもしぶといな」
「テメェ程じゃねえよ」


「でも……、そっか、……逃げたか。くっそー…ちくしょう………」

悔しそうに天を仰ぐ光希。


「俺が、もっと強かったなら……ちくしょう……ちくしょう……」

何度も何度も呟く。



「……まあ、今は休め。よくやったぜ、テメェはなァ」
「うわ……、何ですか、キモいですよ。鳥肌立つから褒めるとかやめてください」
「ちっ……本当にテメェは可愛くねえなァ……」


不死川は頭をかく。

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