第27章 合同任務 2
「はー……、はー……、ゲホッ…」
血だらけ泥だらけの善逸が、光希をその腕にしっかりと抱えている。目は童磨に向け、光希を守るように自らの身体で覆う。
この神速で右足がミシリと音を立てた。折れたかもしれない。
他の三人の隊士も息を切らして部屋に飛び込んでくる。震えながらも、善逸と光希を守るように間に立って童磨に向かう。
「人数が、多いな……。男ばっかりだし。日も昇る……、ちぇ残念。もう遊んでられないや」
童磨は無表情でそう言った。
「その子、まだ生きてるね。起きたら伝えて。必ず俺が食べてあげるってね」
「まてこらァ!逃げんなっ!!」
不死川が追いかけて刀を振るが、童磨はフッと消えてしまった。
「……くっそがァ!」
逃げられた悔しさをにじませる。
しかし、上弦の襲撃を死者を出さずに乗り切ったのは一つの成果である。上弦の弐の技もいくつか見ることができ、情報も得られた。
「光希!光希!しっかりしろ!!」
善逸が光希を呼ぶ。
返事はない。
「頭を打ってる。揺らすなァ」
不死川は光希に駆け寄ってくる。
「そいつ、貸せ」
「え、……こいつに何すんですか?」
「手当に決まってんだろ馬鹿かァ、てめえ!」
不死川は善逸から光希を奪い取り、応急処置を始める。
テキパキと指示をして、心配する男三人を戦闘後の後始末に行かせた。光希の身体を見せないためだろう。
「てめえは、知ってんだろォ、こいつ……」
「あ、はい。女なことは知ってます」
不死川は頭の傷に布をあててぎっと強めに巻く。
「ちっ……これは縫わねえと駄目だな……」
布は直ぐに赤く染まりだす。
隊服の釦を外し、上着を開くと白いシャツは腹部を真っ赤に染めていた。二人して眉を寄せる。
不死川はためらいなく白シャツの釦を下から外し、腹部を捲くろうとする。
そこで善逸は不死川の手をぐっと掴む。