第27章 合同任務 2
童磨が先に仕掛けてくる。
「血鬼術!蔓蓮華!!」
氷の蔓が光希に伸びる。
光希は刀で叩き落としていく。
「お前が俺の技を見慣れてきたように、俺もお前の技に慣れてきてんだよ」
不死川は驚いた。
光希の強さは、一般隊士の強さじゃない。さっきまで不死川の支援に回っていたが、一人でここまで戦えるとは。
「へえ……やるね。死ぬ気なんてさらさらないんじゃない」
「はぁ、はぁ、そうだな」
しかし、惜しむらくは、負傷していることと、小さい故の体力のなさだ。
「まあ、俺も本気じゃないから」
童磨が速度を上げてくる。
「くっ……、そんなんわかってる!
俺なんかが技についていけるようじゃ、上弦の弐なんて恥ずかしくて名乗れねえよな!」
童磨の血鬼術を必死で弾いていく。
「あはは!頑張れー!それ、冬ざれ氷柱!」
光希の上から大きな氷柱が降り注ぐ。
「うわっ……!くっ……、」
光希は弾ききれずによろけ、蔓に弾かれて壁に飛ぶ。
「おいっ!如月っ!」
「まだだっ!!」
不死川は動こうとするが、光希が叫ぶ。
光希は童磨を見ているので、一見童磨に向けて発した言葉のように思えるが、不死川は自分に言われたと感じた。
まだ待ってくれ……、と。
不死川は浮かした腰をそのままに、回復しながらじっと待機する。
光希は頭を切っており、血を流している。
「まだだ!まだ、……俺は、負けて、ない」
「そんなボロボロになってよく言うよ。ああ、綺麗な顔が血まみれだよ。可哀想に」
「俺は……まだ……」
光希は胸ポケットからお守り袋を出す。
「ん?それは何かな?人間って、おかしなものに縋るよね。まあ俺も、職業柄そこはわからなくもないけどね」
「俺の、大事な……」
袋から、ころりとどんぐりをだして握りしめる。