第27章 合同任務 2
「はぁっ……、はぁ、戦闘中のみ、下のお名前で失礼しますっ!!」
「はァ?!何でだよっ!」
「あんたの名字が、ゲホッ、長いからだよ!」
「だからなんなんだよ!」
「呼びにくいんだよっ!終わった後で怒られます!!」
……『終わった後で』、かよ。こいつ…
不死川は好きではないはずの少女とのやりとりで、戦闘中にも関わらずほんの少しだけ心が温かくなった。
「へえ、仲良しなんだね、君たち」
「「仲良くねえよ!!」」
見事にハモる不死川と光希。
「あっはっは!!ほら、仲良し」
笑う童磨を見ながら光希は必死に考える。不死川が来てくれたことで勝率は上がった。
そして、一つだけ、出来ることがあるのに思い至った。
外を見る。
夜明けが近い。
「おい……夜明けまで粘ろうとか考えてんじゃねえだろうなァ……」
「はぁ、はぁ、そんな消極的な事を考えてたら、一手で死ぬ。勝つことを、常に考えないと、はぁっ」
「……いい度胸だァ」
「実弥さん……」
「……ちっ、…何だよォ」
「あいつが弱ったら、首切ってください」
「何か、あんのかァ」
「効くかはわからない。でも、ただ死ぬより、全力で立ち向かって、役にたって、俺は死にたい。まずは……回復しててください」
光希は、ザッと音を立てて童磨の前に立つ。
「ぜー…、ぜー…、……はぁっはぁ、」
「どうしたの?息が苦しそうだね」
「それ程でも、ねえよ。気分は、最高だぜ」
……あいつ、ヤバいな。意識、朦朧としてねえか?
無理もねえ、俺より先に戦ってんだ。生きてるのが奇跡だろう
不死川は、迷ったが一度光希に任せて、呼吸で回復する。
「君の間合いも速さも、もうわかったから。頑張っても無理だよ」
「へへ、どうかな?俺は、わりと嘘つきでね。隠してるかもしれねえぜ?切り札ってやつをよ」
「んー、もし隠してるなら、敢えて言わないよね?」
「あ、そりゃそうか。あはは」
時間を稼ぐように、童磨に話しかける光希。
「そろそろ死ぬ?」
「そうだな。疲れてきたし、そうしようかな」
光希は刀を構える。
不死川も何時でも行けるように刀を構える。