第27章 合同任務 2
どうしたらいい。
誰もが思考停止した中、光希がいち早く動く。
「俺が屋敷へ行きます!」
「一人じゃ無理だ!死ぬぞ!」
「あそこには人がいる。守らなきゃ!」
「村長なら自業自得だ!」
「違う!こいつがここに来た!村長は頑張ったんだ!」
光希は鬼を指差す。
「四人でこいつ倒して、援軍に来てください。踏ん張ってますから!」
そう言うと、光希は屋敷に向けて駆け出した。
『善逸、頼む。お前がそいつを切れ。さっき話したのを皆とやれ。腕を封じれば勝てる』
善逸に指示を出しながら屋敷向かって走る。
……無理だ、光希が居ないと。俺だけじゃ
『大丈夫だ。義勇さんにやれたんだ。頑張れ。出来るよ。お前は強い』
善逸の思考は光希に聞こえてるはずないのに、返すように声が聞こえる。
光希が屋敷で提案したのは、善逸が義勇との鍛錬で使った霹靂一閃の連続技だった。
「光希が屋敷で言ってた技を、四人で使って倒しましょう!お願いします!」
善逸は勇気を振り絞って叫んだ。
声は震えてしまったが、三人の隊士は「おう!」と返してくれた。
光希は村長の屋敷に向かって全速力で走った。
……くそっ、何で今なんだ。もう少し後なら……。しかも上弦。俺一人でどれだけもつか……
いや、駄目だ!弱気になるな!善逸たちも頑張ってんだ。しっかりしろ!
死んだとしても、次に繋げるんだっ……!
屋敷に飛び込むと、村長が娘を背中に庇い、鬼と対峙していた。
「やめろーーっ!!」
振り下ろされる鉄扇を何とか刀で弾く。手がびりびりと痺れる。
……ちいっ、なんて重い攻撃だ
眉を顰めながら、村長の前に出る。
「はぁっ、はぁっ、逃げろっ!!早く!」
「はっ、あの……」
「いいからっ、ぜぃ、ぜぃ、早く行けっ、ゲホッ!屋敷の者もみんな逃がせ!」
村長は急いで外へ逃げていった。
「ああ、俺の稀血の少女が……」
不思議な容姿をした鬼がそう言ってしょんぼりする。
「まあ、でも代わりに美味しそうな女の子が来たから、いっか。君を食べてから、あの子を食べることにするよ」
鬼はニヤリと笑って光希を見る。
上弦の弐、童磨だった。