第27章 合同任務 2
「馬鹿か!やめろ!如月!」
炎の隊士が叫ぶ中、光希は鬼に蹴りを入れる。
鬼も不意をつかれたようで、顔面に蹴りを受け、わずかによろける。
……あいつ、鬼を蹴飛ばしやがった。なんてやつだ怖くねえのかよっ!
善逸は焦りながら、何時でも飛び込める準備をする。意味のない行動は絶対に取らないとわかっている。
「こんの、チビ!」
鬼が怒って殴りかかる。それをひらりと躱す。懐に素早く入り込み、顎に膝蹴りをあてる。
鬼が両手で光希を捕まえようとした時、上手く見を翻して鬼の肩を飛び越えて後ろに回り込む。
「よっしゃっ!」
光希はいつもの薄紫色の羽織を脱ぎ、それを使って鬼の両手を後ろ手に絡め上げた。
「今だっ!」
四人の隊士が一斉に斬りかかる。
「くっ……」
鬼は慌てて近くの木に飛んで逃げた。
そこでビリリと羽織を破いて両手を開放する。
「はぁはぁ、やっぱりな。攻撃を腕でばかり防いでいたから。見たかよあの焦りよう」
「なるほどそういうことか。腕を封じれば……」
「このチビ、……本当にちょろちょろ動き回って腹立つぜー!!早く殺されろ!!」
「俺だって腹立つぜ!その羽織お気に入りだったんだぞ!!ビリビリにしやがって!!」
「ふざけんなよ!!」
鬼が怒って光希の元へ近付く。
「よし、先程屋敷で話した作戦で、ーーっ!」
瞬間、背筋が凍りつく。
他の四人も目を見開く。
もう一つの鬼の気配が突如としてあらわれた。光希の予想通り、村長の屋敷へ。
しかし、光希の予想よりだいぶ早く、そして強い鬼がきた。
「光希……、こ、これって……」
「ああ、間違いない。……上弦だ」
冷汗が流れる。
まだ目の前の鬼も倒せてないのに。ここに来て上弦とは。
吐きそうなくらいに禍々しい気配が屋敷を包んだ。