第27章 合同任務 2
光希が予測した場所で、善逸と二人で待機する。
次第に善逸が震えだす。
「やっぱり……強い鬼が来るのかな…鬼殺隊士や柱を狙う鬼なんて、絶対強いだろ。死ぬのかな、俺」
「気休め言っても仕方ねえからはっきり言うが……、相当強いと思う」
「ひぃっ……お前さ、もうちょっと発言気をつけろよ…あわわわわ……」
「でもな、俺たちだって強い。大丈夫だ。落ち着けば大丈夫」
カタカタと震える善逸の肩を抱き寄せる。
「ううっ……怖い怖い怖い……」
「よしよし。こんなところで死んでたまるか。お前は上弦の首切ってんだぞ。自信持て」
「……うん。はぁー…はぁー……」
「恋人が待ってんだろ?誰かは知らねえけど。そいつん所にちゃんと帰らなきゃ。凄い綺麗な子なんだろ?ひひひっ」
「ふぅ、ふぅ、……へ、へへ。そうなんだ。なんで俺なんかと付き合ってくれてんのか知らねえけど、俺には勿体ないくらいの女なんだ」
「へえ……、まあその子はお前の知らないお前の良いところを知ってんだろうな」
「光希も、ちゃんと約束した場所に帰んなきゃ駄目だからな!」
「もちろんだ。俺は、約束は守る剣士だ」
夜が更けて、真夜中を回る。
なかなか鬼は現れない。極度の緊張の中、草むらの中でじっと待機する。
隣で光希がごそごそと動いていると思っていたが、突然ふと善逸の前に差し出される手。
そこには金平糖が三つ、小さな白い紙の上に乗っていた。
「ほれ」
「いいのか?」
「糖分補給だ。全部やるよ」
「ありがと」
善逸は金平糖を口に放り込む。
「……甘い」
優しい甘さは、緊張を解していく。
噛んでしまうのが勿体なくて、口の中でころころと転がす。
「それ、食い終わったら集中上げていくぞ」
「え……」
「そろそろ、来る」
「……わかった」
善逸は戦闘態勢に入る。
先程より少し落ち着いたようだ。
善逸が目を閉じて耳を澄ます。
「……来た」
「! どこだ」
「大正解、ここだ」
「鴉くん!他の隊士に伝えてくれ!戦闘開始だっ!!行くぞ、善逸!!」
「おう!!」
二人は藪から飛び出す。
……『まずは皆が来るまで足止めだ。深追いは要らない。村に入らせるな』
光希は善逸に囁く。善逸は頷いた。