第27章 合同任務 2
日が暮れ初め、五人は屋敷を出る。それぞれの位置へ移動しながら村の様子を見る。
「思ったより人が多いな…。
市街地での戦いになったら、出来れば鬼を村外れまで誘導してください。それか、援軍が来るまで戦わずに人々を避難させてください」
「わかった」
「お二人で打ち合わせをお願いします」
二人の隊士を置き、三人で歩く。
「この辺かな……」
先程の場所と村外れをみながら、小高い丘の上で光希が呟く。
「どうでしょう」
「いいんじゃねえか。見渡しやすい」
「ここから、あの市街地まではどのくらいかかりますか?」
「五十数えれば行ける」
「素晴らしい。あっちの村外れは?」
「五十……」
「俺たち新人なんで、四十五で来てくださいよ先輩」
「四十で駆けつけてやらあ」
「流石、素晴らしい」
光希はパチパチと拍手をする。
「何かあったら叫んでくれれば善逸が聞き取りますから」
「わかった。凄いなこいつ」
「ええ。俺の自慢の同期ですよ」
恥ずかし気もなくそう言う光希。
善逸の方がなんだか恥ずかしくなる。
「あと……あの屋敷へは、どのくらいかかりますか?」
光希は先程までいた村長の屋敷を指差す。
「あそこは襲撃されないんだろう」
「………それは敵が単体の場合です。複数だったら襲撃は大いにあり得る。内通者は消されます」
「自業自得だろ」
「だとしても。俺は助けたい。
もしそれで俺が死んでも、村長さんを責めないでください」
光希はまっすぐ屋敷を見つめてそう言った。
「じゃ、ここお願いします」
「なあ、聞かせろ、如月」
「なんでしょう」
「お前と水柱、……恋人か」
「断じて違います」
「そうか。……死ぬなよ、如月」
「はい。あなたも。善逸、行こう」
二人は丘を離れて村外れに向かう。
「お前は本当に、誰にでもモテるんだな。あんなに喧嘩してたのにさ、なんだよあの野郎」
「さて、なんのことかな」
「はぁ……、俺は思ってた以上にやばい恋人をもってるとわかったよ」
「そうか、誰のことかわからんが、お前も大変だな。ご愁傷さま」
光希は善逸を見て笑う。