第26章 合同任務
……我ながら、腹が立つぐらい穴だらけの作戦だ。ちくしょう
光希は外を見ながら悔しさをにじませる。
……こんな少ない情報で、どうやれってんだよ
置かれた状況と自分の能力の低さを思い、ふつふつと苛立ちがこみ上げた。
「だーっ!!もうくそっ!苛つくぜっ!」
女子と見間違うくらいに美しかった少年が突然口汚く叫んで立ち上がったことに、部屋にいた四人はギョッとする。
光希はまた部屋の真ん中にきて、ぷんぷんしながら急須から湯呑にお茶をついだ。
善逸が慌てて駆け寄る。
「おい、そのお茶、飲んだら駄目なんだろ?」
「うん。多分、遅効性の筋弛緩剤でも入ってんだろ。それか下剤」
「なら……」
「飲まねえよ。でも、一口も飲んでないと疑われるだろが。あ、お前飲むか?」
「飲まねえよっ!」
「ははは」
光希は声をあげて笑った。先程までとは全然違うその幼い顔に善逸以外の男隊士は驚く。
一度湯呑に注いだお湯を、また急須に戻す。
湯呑によって残量を変えて、外に垂らしたりもする。
「見ろ、この芸の細かさ。流石、俺」
「お前、小細工得意だもんな」
「へっへっへ」
お湯がたっぷり入った大きめの急須を持って、窓へ向う。そのままひゅっと外へ消える。
男たちは窓へ走り、下を覗く。
光希は人の目を気にしながら地面にお湯を捨て、土を上手く被せて隠蔽する。
そのまますぐに呼吸で飛び上がり戻ってきた。
「よっしゃ完璧だ」
急須をお盆に乗せて、いたずらを隠す子どものように笑った。
「さて、こちらの処理は完璧ですが、策ははっきり言って穴だらけです。死なないように頑張りましょう!」
と言ってにこりと笑った。
「まあ、今可能な状況把握としては出来てんじゃねえの」
炎の剣士がそう言った。
「何が起こるかわからねえけど、そんときは状況に合わせて動けばいいだけだ。鬼の出現場所とか違っても、お前のせいじゃねえよ」
「どーも」
「……寝子とか言って悪かったよ」
口を尖らせながら剣士がほつりと言った。
「なんだ。あんた、意外といい人なんだな」
光希が笑いながら声をかけた。
「じゃあいくつか戦いの作戦を決めていきましょうかね!」
光希を中心に、連携の攻撃パターンをいくつか考えていった。