第26章 合同任務
五人は村長の家へ行く。
「鬼が出たんです。助けてください」
四十代くらいの村長は、そう言って彼らに頭を下げた。
ここ数日間の事を説明する。
村の地図を出し、事件があった日にちと場所を村長が説明する。
光希は小声で善逸に呼びかけ、音を聞いてもらっていた。
一通り説明を終える村長。
「この村をお守りください。お願いします」
そう言ってまた村長は頭を下げる。
「村長さん」
光希が口を開く。
にこりと笑いかける。
「いくつか確認してよろしいでしょうか」
「はい」
光希は筆記具を取り出してメモを取る。
「我々の存在は以前よりご存知とのことでしたが、事件初日に鬼殺隊に連絡をしなかったのは何故ですか?」
「まさか鬼の仕業だと思わなかったんです。野党かなにかかと思ったのです」
「そうですよね、鬼だなんて信じられませんよね」
「はい……」
「その後の事件も全く同様に惨殺が起きたのですね」
「はい……被害者は全て女性。夜の間に惨殺されておりました」
「痛ましいです……我々を朝から呼ばなかったのは」
「この村は外との繋がりがほとんどありません。早い時間から外の人が沢山入ってくると皆の不安を煽りますので、往来が減ってから入村いただきました」
「なるほどわかりました!お話頂いてありがとうございます」
「いえ……」
「では、村長。俺たちは夜まで待たせてもらう」
「はい。よろしくお願いします」
村長は五人を残して出ていった。
「なるほどな。如月、お前の言ってたことが少しわかったぜ」
大柄の男が光希の前に座る。
話のわからん奴だと思ったが、案外馬鹿ではないようだ。
「どう思う」
「では、腰抜けなりの考えをお話いたします」
まだ怒りは残っているらしい光希が声を落として話す。
「まず皆さん、こいつは耳が異常にいいんです」
「こいつが?」
「はい。善逸、周りに人はいるか」
「……いるけど、俺らに注意を向けてる奴はいない。村長も自室へ行ったようだ」
「驚いたな……」
「よし。ここからは我妻の聴力を元に話をしていきます」
光希は村長が置いていった村の地図を広げる。