第26章 合同任務
「村に入る前に、少しいいでしょうか」
光希が口を開く。
もう黙ってろよ!目立つなよ頼むから!と善逸は隣で思う。
「皆さん、今回の指令を受けたのはいつですか?」
「俺は昨日の夕方だ」
「俺も。つーかこいつと一緒にいたから」
「あなたは?」
「……俺も、昨日の夕方だ。それがどうした」
「俺と我妻もそうです」
「だから何だ」
「少し気になって。
……遅くないですか?前日の夕方に指令がきて、翌日の昼すぎの任務開始って。何故、今日の朝からじゃなかったんだろう」
「まあ、確かに遅めではあるな」
「でもそこまで遅いわけじゃないし……」
「鴉によると、今回はこの村の村長から連絡があったとのことです。数日前から事件が起こっていたとか。ならば緊急指令を出して一刻も早く隊士を呼ぶはず」
「なるほど……」
「しかも村に入る時間まで指定されている。まるで早くに入ってきて調査してくれるなと言わんばかりの対応です。鬼の足跡を調べる時間があるのだろうか……」
「そんなんいいんだよ。村長から話を聞いて、鬼が出たらぶっ殺す。俺たちの仕事はそれだけだろうが」
「違います。俺たちの仕事は、誰一人死なせないことです。そのためにはちゃんと調べて作戦を立てないと、」
「何かが起こったらその都度それに対応するのが隊士だろ。作戦を予め立てたところで崩れるときは崩れる!」
「わかってますよ!でも、ある程度予測を立てた方が人命救助の確率は上がる!」
二人が語気を荒くして言い合う。