第26章 合同任務
光希と善逸は指定の場所に着いた。
そこには既に二人の隊士がいた。
「如月です。今回はよろしくお願いします」
「我妻です。よろしくお願いします」
二人は新人なので先に礼をとる。
「如月…お前があの如月光希か!」
「ついに俺らも如月と任務か!すっげえ!」
「お二人の呼吸を教えていただけますか?」
「へえ、ちっこくて可愛いんだな。お前、男のなの?女なの?噂通り見た目じゃ全然わかんねえや」
「……性別は関係ないでしょう。あの、呼吸を」
「逆転の呼吸見せてくれよ、なあ!」
「実践で合わせますので、そのためにもあの……」
光希が呼吸を聞き出そうとしていると、後からもうひとり現れる。
「お前が、如月か」
光希と善逸は振り返る。
背の高い男が高圧的な態度で光希を見下ろす。
「柱たちに異常に可愛がられて、凄え速度で出世してるんだってなあ。男か女かわかんねえけど、どっちにしたって床上手なんだろうな。寝子ちゃんよ」
「……なっ!」
善逸が怒りで声をあげる。
「俺はツリ目だから確かに猫属性です。怒らせると引っ掻きますから、おすすめしませんよ」
善逸を制するように、光希は一歩前に出て男を笑顔で牽制する。
「俺の呼吸は炎だよ」
男は音もなく間合いをつめ、光希の顎を持ち上げてぐっと顔を寄せる。
「……本当に女みてえな顔してんな」
「よく言われます」
「ふぅん……顔色ひとつ変えねえのな。やっぱり男か」
そう言って隊士は手を離す。
善逸は怒りで頭がどうにかなりそうだったが、動くなと囁かれたので我慢した。
「あなたが炎ですか。申し訳ないが、俺は炎とは合わせられない。逆転は使えませんのでご了承ください」
「ご了承もなにも、お前と一緒に技使うなんてごめんだ。寝子は早く飼い主の所に帰りな」
ピリつく現場に、初めから来ていた隊士二人が冷や汗を流していた。