第26章 合同任務
善逸が作ってくれたご飯を食べる。
「美味しい!」
「良かった」
光希はご機嫌で食べる。
「善逸は本当に料理が上手だね!」
「ありがとう」
「いい嫁になるよ」
「おい」
「あはは」
和やかな雰囲気の食卓。
「これが最後の晩餐になりませんように……」
「縁起の悪い事言うなよ」
「あはは」
「笑い事かよっ!……まったく」
「……でも、私はこのご飯が最後になってもいいかな。最後のご飯が善逸のご飯なら、幸せだ。そのくらい、このご飯は美味しいよ」
光希は目を細めて手元のご飯を見る。
「お前……、発言が男前過ぎんだよ!」
善逸が顔を赤くして怒る。
「そう?やっぱりモテる男は発言も男前だな」
「男じゃねえのに、こいつなんでこんなに男前なんだ。腹立つなっ!」
「本当に男に産まれてたらよかったな。で、善逸が女の子だったらどんな感じだったろう」
「俺が、女の子……」
「まず間違いなく泣き虫だろ」
「そうだなぁ」
「で、顔はイマイチ」
「こら」
「自分に自信がなくて愚痴愚痴文句ばっか言って、それなのにとんでもなく男好き。男に絡みまくってニヤニヤしてて気持ち悪い子だろうな」
「ちょっとちょっと」
「でも、笑顔が凄く可愛くて、料理上手。朝は弱いけど掃除もうまい」
「…………」
「優しくて、友達の為に命賭けられて、お年寄りや子どもに親切。強い心を持っていて、ぶれることなく真っ直ぐに生きてる」
「……ちょ、やめて、恥ずい」
「うん。なかなか可愛いじゃん善子ちゃん。嫁にもらってやるよ」
「………そりゃどうも」
「ね、ね、女言葉使ってみてよ。善子。遊郭の時別行動だったから聞いてないの」
「なんでだよっ!嫌だよ」
善逸は顔を赤らめて目を逸らす。
そして、反論とばかりに言う。
「いいか、光希。これは、最後の晩餐にはならねえ」
「ん?」
「なぜなら、明日の出発は昼だからだ!」
「あ。朝餉があるか。朝餉はたぶん私が作るもんね」
ふふん、と得意そうに威張る善逸。
そして……
「……だから、ちゃんと任務から帰ってきて、またアタイのご飯食べてね。光希くん」
裏声でそう喋る善逸に、光希は爆笑した。