第4章 那田蜘蛛山
「おい、炭治郎たちの音を探せよ」
光希と善逸は山に入ってきていたが、先に入山した二人と合流出来ずにいた。
「探してるよ。でもそこら中からガサガサ音がしててよくわかんねぇんだよ」
善逸は光希の後にくっついて歩く。
「確かに周りがめちゃめちゃうるせーし、さっきから蜘蛛が凄え身体に登ってくっからキモいな。叩き潰して回ってるけどよ」
「うぇぇ。何お前蜘蛛手で潰したりとかできるの?俺無理気持ち悪くて触れない」
「まあ、好きではないが。触るくらいは平気だ」
小さな蜘蛛が這い登ってくる度に、ぱちんぱちんと叩いたりはたき落としていく光希。
奥へと進むうちに、善逸が「いてっ」と声をあげる。
「どうした?」
「なんかチクッとした」
「大丈夫かよ」
「あーもー炭治郎たちも見つかんないし最悪!」
プンプンと怒る善逸。
そこに一際大きな音がしてて善逸が振り向くと、人面蜘蛛。
「こんなことある!?」と絶叫して、善逸は恐怖のあまりダッシュを始めた。パニックになり、喚き散らしながら疾走していく。
「お、おい待て善逸っ!」
善逸に高速で走られたら追いつけない。慌てて追いかけるが、善逸が去ったのと逆方向から誰かが助けを呼ぶ声がする。
そっちに気を取られた光希は善逸を見失う。
「まったくもー!」
光希は取り敢えず声の聞こえる方へ行った。
そこには人面蜘蛛に襲われている鬼殺隊員がいた。
「た、助けてくれぇ」
「早く立って!逃げてください!」
「むむむ無理だ。足を挫いた。」
光希は鬼殺隊員の前に滑りこみ、背に庇う。
そこへ人面蜘蛛二匹が、凄い速さで口から毒針を出しておそいかかる。
光希は毒針をスパァンと切った。人面蜘蛛は、うぎっと声をあげ逃げていった。
「早くここから離れた方がいいですよ」
「あ、ありがとう」
「あの蜘蛛、見た目は気持ち悪いですが、動きはそんなに早くないです。よく見ればちゃんと攻撃をかわせますよ。ほら、しっかり刀握って」
光希はおそらく先輩であろう鬼殺隊士にそう声をかけると、善逸を探しに走った。