第25章 明日の命※
「じゃあやっぱり、もうしない。危険だ」
「危険じゃないでしょ」
「いつ、戦うことになるかわからないんだ。こんな戦闘不能状態になるなら、」
「今、鬼が来たら、俺が戦う!俺がお前を絶対に守るから」
善逸が強い語気で言う。
「それでお前が死んだら、それこそ俺は、生きてられない」
「死なねえよ。なんで負けるの前提なの。失礼なやっちゃなあ。俺は自分も光希もちゃんと守るよっ!」
善逸はスッと光希の後ろに周り、ぎゅっと抱きしめる。
「だから、…もうしないなんて言わないで」
「…………」
「幸せだったでしょ?」
「………うん」
「嬉しかったし」
「………うん」
「気持ち良かったよね?」
「……う…ん…」
「終わった後に動けなくなったのが不安だった?びっくりしちゃった?」
「そう」
「片付けとか俺が全部やるから。大丈夫だよ。全然気にしないで」
「……そういうわけには」
「それが男と女の違いだから。男はすぐ動けるようになるの。後のことは全部任せて、光希はただ気持ちよくなってればいいんだよ」
「うん……」
「戦いとかはひとまず横によけといて、あなたは女の悦びを知りなさい」
「……うん」
「よし!じゃあ、またしようね。……今夜」
「……やだっ!」
そう言いながら、光希はだるい身体を善逸に預ける。善逸もしっかりと体重を受け止めてくれる。
「私も、男だったら良かった……」
「それは、俺が嫌だわ……」
光希がまだ少し悔しさを滲ませてそう言うと、善逸は苦笑いした。
二人はくっつきながら、おにぎりを食べた。