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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第24章 雷の呼吸


「母ちゃん、俺たちも行くからさ。もうあがっていいよ」
「わかったわ、ありがとう」

千代はおにぎりを持たせてくれた。

「明日も休んでね。義勇さん帰ってこないだろうし。俺たちもたぶん任務だから。ゆっくりして」
「ありがとう。気をつけるのよ」
「うん。大丈夫」
「善逸くんもね」
「はい」

「いってきます!」
「お邪魔しました」

二人も冨岡邸を出発した。


「なあ、隠れ家まで走って、」
「走って帰るなんて言わないよな、勿論。そこまで馬鹿じゃないよな。師匠の言いつけを破るなんてまさかそんな、ねえ?」

「そんなはずないだろ……」
「だよな。良かった」

「でもさ!鍛錬は駄目だって言われたけど、走っちゃ駄目とは……、言われて、ないけど、……走らないよ?うん」

善逸がすごい顔で睨んできたから、光希は自己完結していった。


「……何をそんなに焦ってんだよ」
「焦るさ」
「まずは回復だろ。わかってるはずだ」
「……うん」

「何かあったのか」
「……わかるんだ」
「え?」
「柱たちが……、あのとんでもなく強い人たちが、より強くなろうと焦ってる」
「……戦いが近いのか」
「かも、しれない」

「でも、お前は強いよ」
「まだ義勇さんの足元、だよ。俺みたいなへっぽこは死ぬほどやんなきゃ追いつけねえ」

「……焦ってもしかたねえ。すぐには強くなれないよ」
「わかってるよ」

二人はゆっくり街を歩いていく。


三人の子どもが駆け寄ってくる。

「兄ちゃん!」
「久しぶりだな」
「? 兄ちゃん、どうかした?どっかいたいの?」
「ん?何でだ?」
「なんか、かなしそう……」

「……え?」

光希は驚いた。自分はどんな顔をして歩いていたのか。こんな子どもに感情を悟られるなんてまだまだだな、と苦笑する。

「なんでもねーよ」

そう言って笑って子どもの頭を撫でる。


「へん兄ちゃんもいる!」
「変兄ちゃんじゃねえ!善逸、な?」
「ぜん兄ちゃん!」
「そう!」


そのやり取りで光希はぷっと吹き出した。


「……変兄ちゃん。ぷぷっ、確かに」
「笑うなっ!」
「あはは」


光希が笑ったので、善逸はほっとした。


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