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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第24章 雷の呼吸


翌朝、善逸が起きると、稽古場から音がする。

……まさか、あいつ


気配を殺して見に行くと、光希は柔軟をしていた。
既に隊服を着ている。


「おはよ」

声をかけるとビクッとする。


「あ、おはよう善逸。びっくりした」
「びっくりするのは、やましいことがあるからか?朝からこんなところにいるとは」

「鍛錬はしていない!身体を伸ばしていただけだ!」
「本当か?がっつり隊服着てさ」
「着物じゃ足を開けないからだよ!音で聞けばいいだろ!嘘じゃない!」

「まあいいよ。腕と足、どう?」
「もう治った」
「治ってはいねえよ」

はぁ……とため息をついて、善逸は稽古場を後にする。



善逸が身支度をして戻ってくると、光希は瞑想していた。一切乱れる事なく、深く静かな呼吸。以前より格段に洗練されている。

善逸も稽古場に座り、瞑想を始める。
目を閉じて集中する。


ふと善逸が目を開けると、光希が善逸を見ていた。

「何だよ」
「……いや」
「どうせ変な顔とか思ってたんだろ」
「そう」


……あれ?

「嘘の音がする」

「……っ、や…その、なんだ」
「んだよ」
「……………別に」
「何さ。言えよ」
「……黙ってりゃ、割と男前かもなって」

ぼそっと呟く光希。頬をほんのり朱に染めて、照れたように目を逸らしている。光希の鼓動がが甘く脈打ち、本音を語る。


意外な反応に驚く善逸。そんなことを言われたのは初めてだった。嬉しくなり、にやけそうになるのを押さて光希に近付く。


「今頃気付いたのかよ」
「見間違いだから気にすんな」
「いーやいや、よく見てみろよ」
「見ても間抜けな顔は変わらない」

光希は深い呼吸を一つして、動揺を一瞬で落ち着け平静に戻ってしまった。


「ちぇっ、さすがの切り替えの速さだな」
「まあな」


光希が女になったというなら、善逸も男になった訳で。今までの彼と違う部分に、無意識的に気付いた光希だった。


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