第24章 雷の呼吸
外の雨は強くなり、ゴロゴロと雷鳴が聞こえる。
途端に光希の目が泳ぎ出す。
「……光希」
善逸が心配して声をかけた瞬間、ピカッと光る。
「きゃっ……!」
光希は善逸の後ろに隠れる。
「おい落ち着け、大丈夫だ。遠いし、建物の中なら大丈夫だ」
「理屈じゃないんだよっ!」
背中にくっついて震える光希。
「雷が怖いのか?」
義勇が驚いた顔で光希に聞く。
「す、少しだけ」
善逸の後から苦笑いしながらそう答える。
「こいつ、雷、大の苦手です」
「おい馬鹿!ばらすなお前人の弱点をっ!」
「任務の時はどうしてるんだ」
「そりゃ、鋼の精神で頑張ってるんですよ。健気でしょ!」
ばらされてやや投げやりに答える。
実際のところ、任務の時は集中しているのでさほど恐怖を感じてはいない。
「雷嫌いなのに、雷の技を選んだのか」
「技と好き嫌いは違いますか、らっ!ひっ!」
また外が大きく光る。善逸の後に隠れる。
「そうか……知らなかった」
「言ってませんから」
「今まで、一人で震えていたのか」
「……それ程でもないですよ」
光希はおそるおそる善逸の後から出てくる。
「これから、雷の夜は添い寝してやろう」
珍しい光希の行動が面白くなったのか、酒の入った義勇が柄じゃないことを言ってきた。
光希と善逸は驚いて目を丸くする。
「ととと冨岡さんっ!何言ってんですかっ!」
「一人で泣かせておくのも可哀想だろう」
「ですが!」
「師として弟子を守る責務がある」
「落ち着けよ、善逸。義勇さんも冗談言うんですね。びっくりです」
「冗談ではない」
「え?」
「怖かったらいつでも布団に入ってこい」
「あはは、ありがとうございます」
……光希は冗談だと思ってるみたいだけど、この人から嘘の音はしない
そこへ千代が食後のお茶を持って現れる。
光希は食器を片付ける千代を手伝うために、退室していった。