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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第24章 雷の呼吸


手足も多少回復し、手ぬぐいで拭いているともう夕方になっていた。


「善逸、ごめんな、俺の鍛錬付き合わせて」
「別にいいけど。俺の修行にもなったし」
「ありがとな」

この足だと光希は隠れ家まで帰れないだろう。俺だけ帰るかな……と思っていると、ポツリポツリと雨が降ってきた。

二人で雨を見つめる。


そこへ、仮眠から起きた義勇が稽古場にきた。

「夕飯だ。我妻も食っていけ。明日任務がないならお前もここに泊まれ」
「ありがとうございます。そうさせていただきます」

善逸がぺこりとお辞儀をする。



「……ここに泊まるなら、今夜もお前を抱けないな」

義勇が去った後に、耳元でそっと囁く。
今日いろいろやられたお返しのようだ。

光希は顔を赤くして睨んだ。



善逸は桶の水を流し、樽を隅に置く。
光希はゆっくり立ち上がった。


「あ、稽古場の掃除……」
「お前が寝てる間にやったよ」
「流石、善逸さん!ありがと」

一応光希が歩けていることを確認して、善逸は胸を撫でおろす。



客間に戻ると麻の籠が置かれており「ここに稽古着入れて」と光希に説明される。

「洗濯くらい自分で……」
「それやると母ちゃんに怒られるんだ。何のために私がいるの!って。だから、怒られたくなかったら大人しくそこに入れて」

光希は笑いながらそう言って部屋を後にした。
部屋には男物の部屋着も置かれており、善逸の丈に合ったものだった。

善逸がいつ来てもいいように準備されていたものに袖を通して、心が暖かくなる。


着替え終わったころ、部屋着になった光希が来た。自分の稽古着を籠に入れて、「あ、部屋着も用意してもらえてたんだね。良かったな」と善逸を見て笑う。


「足、まだ痛いみたいだな。引きずってる」
「少しな」
「嘘付け」
「明日、やばいな」
「のたうちまわればいい。少しは懲りろ」


善逸はそう言いながら、義勇の部屋までゆっくり歩いてくれた。

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