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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第24章 雷の呼吸


しばらく冷やしていると脚の感覚が戻ってきた。

光希は冷している間に善逸から新たに得た情報と、先程自分が検証したもの、そして、もうひとつ、思い至ったものがあった。


そこへ、一つの気配。
庭に目を向けていた光希が、ばっと顔を横に向ける。
善逸も音で気付く。

「義勇さん!お帰りなさい!」

光希がざぶっと桶から足をだし、裸足のまま庭に出る。


「また無茶したのか」

義勇が呆れたように声をかける。


「冨岡さん、お疲れ様です。お邪魔しております」

善逸がぺこりと頭を下げる。

「我妻、光希が迷惑をかけた」
「いえ。無茶を止められなくてすみません」
「謝るな。俺でも無理だ」


「義勇さん!お疲れの所すみません。技を見てもらえませんか?」
「おい、お前、足が……」
「もうだいぶ回復したよ」


「何の技だ」

「俺の拾壱ノ型です」


……なんだって?


善逸は驚いて光希を見る。



「まだまだですが、方向性だけ決めました」
「そうか」
「失敗したらごめんなさい」
「見てやる。やってみろ」
「はい!」

「冨岡さん!駄目ですよ、さっきまで立てなかったんですよ?」
「今は立って動いてる。こいつは止めてもやる。だったら見てやった方がいいだろう」

「ありがとうございます!」

光希は足を拭き、裸足のまま草履を履く。


ふらふらしながら、打ち込み台の方へいく。善逸は倒れるんじゃないかと、気が気じゃない。
光希は何度か屈伸して、足に血液を送る。


そして腰から刀を外して右手で鞘を持った。


……なっ!

善逸は驚いて口に手を当てる。



「いきます!!」


足を冷やしながら考えていたこと。それは剣術の基本をぶっ壊す、左手での抜刀術。

前後に大きく開いた足も先程までとは逆になっており、集中した足に激しい力が宿る。


全てが逆になった、左利きの光希にしかできない霹靂一閃の逆転技。




「霹靂一閃もどき!」


ドンッ!と大きな音がして、まばゆい閃光が走る。


左手で振り抜いた光希の刀で、一瞬のうちに打ち込み台が音を立てて壊れた。


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