第24章 雷の呼吸
「おいちょっと休め。足、使えなくなるぞ」
「うん……」
……こいつ、聞いてねえな
光希は地面を見て、打ち込み台の傷を見て、また何か考えている。
踏み切り位置がここだと、こうなる……踏み込みをあと半歩、それにはその前の足で調整をして……敵も動くから……
ずっとブツブツ呟いている。
仕方なく善逸は光希に肩を貸したまま、彼女の考えがまとまるまで待つ。
……今なら乳揉んでも気付かれないかもな
鍛錬馬鹿の恋人の隣で、呆れながらそんなことを思った。
「よし!わかった、次は、」と言った瞬間、「いっててててて!」と叫んだ。
「足が、いってえ!!」
「えええ!今、痛覚来たの?遅っ!!どうなってんの?お前賢いのに、脳の伝達すげえ馬鹿じゃん!!」
「何だこれめちゃめちゃ痛え!ぎえぇぇ!」
「え…と、冷やせばいいのか?前の俺みたいに」
「右に行って曲がった所の物置に桶あるから!頼む!」
「わかった!」
善逸は前に光希がしてくれたように足を冷やす準備をしてくれた。
「無茶しすぎ」
「はい……」
「雷の呼吸は足に負担かかるの。知ってるでしょ」
「はい……」
「俺が止めたのに、聞かないんだから。本当に。馬鹿。鍛錬馬鹿」
「ごめんなさい」
桶に足を突っ込んだまま、善逸に説教をくらう光希。逃げ場もないので言われたい放題だ。
「わー……腕もだるっ……」
「抜刀術は初めてだもんな」
「あ!あのさ、鞘を滑らすときのことなんだけど……」
すぐにまた技の話になる光希。
善逸は苦笑いしながら、仕方ねえなと言って教えていった。