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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第24章 雷の呼吸


「ん。わかった、ありがと!」

技を見て、光希はそう言った。

先程善逸に教わった基礎の動きをしながら、ここで、こう、こうやってこうきて、こう……とブツブツと言ながら、打ち込み台の周りをうろうろする。


技の連発で疲れた善逸は、縁側に腰かけてその様子を見ている。


「よし!行きます。見ててね!」
「おう」


抜刀術なので光希は真剣で構える。
ぐっと足に力を込める。呼吸が違うので電撃は走らないが、ビリビリと大地が揺れる。


「雷のような呼吸、霹靂一閃もどき!」


ゴォッ!という音がして光希が飛び込む。ヒュンと加速して一瞬のうちに打ちこみ台を通りぬけた。打ちこみ台にはざっくり刀傷。

善逸は目を見開く。


「……は?」


「んー、まだまだだけど、なんとなく形にはなったか?」


踏み込み位置が微妙かな、と地面を見ている。


「ちょ、ちょっと待て!」

「え?何か大きく駄目だったか?」

「い、いやいや。ほとんど出来てる。霹靂一閃だった」
「本当?やったぁ!」

「おいっ!なんですぐに出来るんだよっ!俺がどんだけ苦労したかわかってんのかよ!」
「ごめん、知らない」
「このやろー!ムカつくわ!」

「善逸の教え方がうまいんじゃないか?」

「そうだな。きっとそうだ!」
「うんうん、ありがとな」

そう言って笑いかけると、すぐまた打ちこみ台のそばをうろうろしている。


……こいつ、とんでもねえ奴だ。俺の技を何度か見るうちに分析して理解しやがった。威力も速さもまだまだだけど、形になってる。天才ってやつか


「よし、もういっちょ!」
「足ふらついてるぞ、ちょっと待て」
「大丈夫!さっきより強いの行ける」


そう言って構える。
放った技は宣言通り一発目より威力があがっていた。


しかし、着地でふらつき、倒れる。



「おい!光希っ!」

善逸が駆け寄る。


「だ、いじょぶ。へへ」

ぐっと腕の力で起き上がって打ち込み台の所までズリズリと這っていく。

善逸が助け起こす。


「大丈夫か?」
「元気一杯」


縁側に連れて行こうとするが、嫌がる光希。仕方なく打ち込み台の所へ連れて行くと、善逸に寄りかかったままじっと地面を見ている。

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