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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第23章 隠れ家 3


「おりょうりをーつくりましょー」

椅子に座った光希が、楽しそうに歌い出す。『おしごとのうた』の料理版のようだ。

「…………」

「…ん?『らーらららー』は?」
「……やだ」


「おりょうりをーつくりましょー」
「…………」


「おりょうりをーつくりましょー」
「…………」


「おりょうりをーつくりましょー」
『おりょうりー…らーらららー』



諦めない光希に、善逸が折れて鍋をかき回しながら小さな声で歌い出す。きゃはっと嬉しそうに光希が声を上げて笑う。


「おなべーに……、あれ、何だっけ?」
「覚えてねえのに歌わせたのかよ!……やれやれ」

「あはは。忘れちゃった」
「まったく……「おなべーのーなーかに」だよ」
「あ!そうだそうだ。凄いね、善逸。めっちゃ覚えてんじゃん。なんで?」
「お前に付き合わされて、散々歌ったからだよっ!!」


「あはは、じゃあ、いくよ!さんはいっ!」



「おりょうりをーつくりましょー」
『おりょうりー らーらららー』

「おなべーのーなーかにー」
『おなべー  なかにー』

「おっこちてーみずびたしー」
『おっこちてーみずびたしー』

「あーららこららー」
『やさいといっしょに』

「みずびたしー」
『みずびたしー……』


台所に綺麗な和音が響く。


「おおー!!」

光希はパチパチと拍手をして自分たちを称賛する。



「……ねぇ。これ、なんで最後は全部水浸しになるの?」

「知るかっ!お前が歌詞作ったんだろが!!」


光希の遊びに付き合う善逸。
口調はキレ気味だが、本当は楽しくて仕方ない。

子どもみたいなことは恥ずかしくてやりたくないお年頃ではあるが、心の中はどうしようもない程の幸せを感じていた。



数刻前まで情事をしていたとはとても思えない二人が、台所で笑い声をあげた。

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