第22章 隠れ家 2 ※
光希はそばにある自分の羽織を着て、善逸にも先程脱いだ着物をふわりと被せる。
「よくわからないんだけど、泣かないで」
「うっ……、ひっく、ごめん……光希」
「謝ることなんてないよ」
光希は善逸を着物の上から抱きしめる。
「ここまで、よく頑張ってくれたね。ありがとう」
「光希……」
「すっごく頼りになったし、かっこよかったよ。私が沢山困らせたから、疲れちゃったんだよね」
「違うよ、ビビってるだけだ……」
善逸も泣きながら光希を抱きしめる。
「俺は本当に意気地なしのヘタレ野郎だ……。ううっ…怖がらせるし、痛がらせるし、その上中折れするとかもう、駄目過ぎじゃん、嘘すぎでしょ。心底自分が嫌になる……うぇっ……ぐすっ…」
「じゃあ、その分私が善逸のこと全力で好きでいてあげるから大丈夫だよ。どんな善逸でも私は好きだから」
「……呆れてないの?」
「呆れるわけないでしょ」
光希が優しく声をかけてくれて、善逸はホッとする。
「ね、善逸。もういいからさ、ここまでにして寝よ」
「まだ昼間だよ」
「ちょっとだけ」
二人で布団にころんと寝転がる。
任務明けなこととさっきまでの緊張とで、少し眠い光希。
羽織一枚の光希が目の前でうとうとしている。
善逸は手を伸ばして光希を抱きしめる。
「んー……」
うつ伏せ気味に丸まっていた光希が身体を動かしたことで、羽織から白い肌が見える。
伏せられた目と少し開かれた口がやけに色っぽい。さっきまでの涙を浮かべながら乱れる光希の姿が脳裏に蘇る。
善逸はぐっと光希の腰を引き寄せて足を絡める。上になってる左手で、光希の腰やお尻を触る。
「や……、え、ちょっ、んんっ!」
善逸が動き出したので、光希が声をあげようとしたが、善逸の口で塞がれる。
終わったと思って安心した光希と、安心したことで気持ちが回復してきた善逸。
寝たい光希と興奮が高まる善逸。
三大欲求のうちの二つが布団の中で交錯していた。