第22章 隠れ家 2 ※
隠れ家が見えてきた。
足がだるい。冨岡邸から持ってきた部屋着などを背負っていることもあり、珍しく顔にも疲れがでている。
門をくぐり玄関を開けると、草履が揃えて置かれていた。
「ただいま。善逸、いるの?」
荷物を下ろして草履を脱ぐと、部屋着の善逸が走ってきた。
「おかえり、光希!待ってたよ!」
その表情豊かな顔を見たとき、光希は三日ぶりに心からホッとした。
「善逸の顔をこんなに癒やしだと思ったのは初めてかも……」
「ん?どした?」
「……疲れたの。任務で」
玄関から立ち上がれない光希。
草履を脱いだまま頭を下げて、座り込んでいる。
「……よいしょ」
善逸が光希を横抱きに抱えて持ち上げる。
「うわっ」
「お疲れ様、光希。俺もさっき帰ってきたところ」
「……なら善逸も疲れてるのに」
「俺は大丈夫だよ」
善逸は奥の方の部屋に光希を下ろす。
「部屋、綺麗になってる……」
「まだこの部屋しか掃除できてないけどな」
「……忙しいのに、ありがとう」
「お前ほど忙しくはないよ」
善逸は下ろした光希の身体を抱きしめる。
光希も善逸の身体に寄り添う。
「何かあったの?」
「ん……ちょっとね」
「俺に話せる?」
「愚痴になる」
「いいよ、話して」
善逸が優しくそう言ってくれるから、光希は無一郎の事を話した。話していくとどんどんいつもの光希に戻っていった。
「お前、じーさんばーさん好きだもんな」
「そう!そうなんだ!将棋教えてくれたのも爺ちゃんだったし、童歌とかお手玉とか教えてくれたのは婆ちゃんだった。お年寄りはいろんなこと知ってて凄いのにさっ」
「俺もじーさんばーさん好きだな」
「だよな、だよな!あーもー、やっぱ、あいつ、ムカつく!」
「強いのか。その柱」
「……強いよ。悔しいけど。でも、俺はあんな剣士にはならない!なりたくない!」
「………」
「……あ、私、です」
えへへ、と笑う光希。
「……やっと笑った」
「あ……、そっか。うん。心配かけたね、ごめん。もう大丈夫。話し聞いてくれてありがとう」
「お帰り、光希」
「ただいま、善逸」
善逸が光希に唇を寄せる。